BOB DYLAN
FREEWHEELIN' BOB DYLAN

国内盤

Amazon（国内盤）
Amazon（輸入盤）

デジパック仕様にブックレット。ブックレットにはナット・ヘントフと中村とうようのライナー。ナット・ヘントフのライナー訳と歌詞対訳がつく国内盤がおすすめ。

ジャケットには当時の恋人であり活動家のスーズ・ロトロ。ボブ・ディランのジャケットはどれも無頓着なデザインばかりですが（それゆえ逆にすごいと思うが）、これはディランのみならずポップ全般でも、最高のジャケットの一つでしょう。ジャケット裏にも、この時の別テイク写真が使われており、それもスゴくいい。

60年代初頭のアメリカで生まれたディランの傑作

　本作は1963年の作品。ボブ・ディランのセカンドアルバムです。
　この時アメリカはまだケネディの時代。公民権運動や反戦運動の盛んな時代でした。日本なら東京オリンピック前ですが、力道山が刺殺された、そんな年に発表されました。
　『フリーホイーリン』でボブ・ディランは一躍プロテスト・フォークシンガーとして知られるようになります。
　個人的な考えですが、ボブ・ディランという人は、自我を聴く人に強制したり、逆に聴く人から固定化されるのをいやがっている人のように思えます。ディランは、聴く側の期待する刺激やサービス精神、完成度とは無縁のところで音楽を作っているような気がするのです。
　なので普通のアーティストのつもりで聴くと、ボブ・ディランはとっつきにくいです。
　でもある臨界点を超えると、とてつもなく巨大で、代わりのいないアーティスト、アルバムだったと気づくことになります。
　『フリーホイーリン』は1曲をのぞいて、すべてディランのギターとハーモニカのみで演奏されます。録音当時ディランは21歳。普通なら尻の蒼い若造もいいところですが、驚くほど堂々とした風格のある歌声を聴かせます。

ディランの曲はこんな風

　 誰でも知っている名曲「風に吹かれて」や「北国の少女」「くよくよするなよ」「はげしい雨が降る」「ボブ・ディランの夢」は、売れ線のポップなアレンジをすれば、サイモンとガーファンクルやバーズのような音楽になるのは確実という親しみやすい曲です。
　でもそれをギターとハーモニカだけで歌うところがディラン、なんですよねえ。これで全然カッコいいです。
　あとは反戦歌やトラディッショナルな歌があります。なかには延々と同じメロディーで歌い続ける「戦争の親玉」「ボブ・ディランのブルース」「第３次世界大戦を語るブルース」は普通のポップソングとちがう感じがします。最初戸惑いますが、 これも聴き込んでいくと呪文のように心に染み込むのです。
　ディランの場合、ひょいと現れるサビ部分が一服感を与えてくれるので、そこから注目して聴くのも方法だと思います。サビの歌詞は簡単な英語で分かりやすいのもディランの特徴です。
　このように『フリーホイーリン』は、聴けば聴くほど好きになるスルメアルバムです。

Amazon（国内盤）　Amazon（輸入盤）

60年代のボブ・ディラン有名作SACD

ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム ロック色を入れたボブ・ディラン。

追憶のハイウェイ61 名曲「ライク・ア・ローリグストーン」収録。

2009.10.24