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ザ・ドアーズ
Perception BOXセット[DVD-Audio+CD]

THE DOORS
PERCEPTION

輸入盤、Elektra/Rhino
DVDオーディオ6枚、CD6枚

Amazon JP
Amazon UK

デジパック
各アルバムは3折のデジパック仕様。オリジナル・ジャケットの表紙と裏、見開きがあればそれを掲載。『L.A.ウーマン』はロゴもエンボス。

デジパックの作りはやや貧弱。素材としては、ソニーの初期SACDの正方形デジパックに近い。

ブックレット
ブックレットには解説、歌詞と、アルバム時期の録音風景、ジャケット撮影風景などの小写真が、わりと掲載されています。チョコチョコ見ているだけで興味深い。

オーディオ
DVDオーディオをユニバーサルピレーヤーに入れると、Adovanced Resolutionの、ステレオ/5.1サラウンドが選べます。

DVDプレーヤー、Blu-rayプレーヤーに入れると、5.1Dolby Digital/5.1 DTS/ステレオが選べます。
オーディオ・データとしてHrzとかBitの記述はなく「Adovanced Resolution」の表示があるだけですが、音を聴くと96kHzあたりの肌触りは間違いなくします。(Adovanced ResolutionはMLP Losslessを使った音源)

ボーナス・トラック
ボーナストラックは、CDとDVDオーディオに同じものを収録。さらにステレオとサラウンドの両方にも収録。

DVDオーディオではボーナストラックは、メニューで選ぶ形式なので、通常再生ではオリジナル・アルバムどおりに終わる。これはうれしい。

特典ビデオ
当時のミュージック・ビデオや、アメリカやヨーロッパでのライヴ・ビデオが、各アルバムに2曲入っています。わりと面白い。あとフォトギャラリーに写真少々。

ドアーズの6タイトルを、DVDオーディオで聴けるBOXセット

 本作はドアーズが残した6枚のスタジオアルバムを、それぞれDVD-Audio+CDで1セットにしたものです。
 DVDオーディオには、新ミックス・ステレオ&5.1chサラウンドを収録。もちろん音質はAdvabced Resolution、高音質ハイレゾでの収録です。

音の交通量が違う、生々しいドアーズのバンド音

 DVDオーディオの音は、明るく、伸びやか。たとえるなら「CDが2車線の高速道路なら、DVDオーディオは6車線の高速道路」。音の交通量が、絶対的に違います。
 磨き込まれた金属の表面のように、光沢のある音が、圧倒的な量で、豪放に飛び出してくるのです。
 でもCDのように冷たい感じはしません。いっさいの抵抗がなく、重心の低い、たっぷりした音が届く感じ。DVDオーディオ特有の気持ちのいい音です。
 特に恩恵があるのが、ドラムスでしょう。一打一打に弾力があります。そのおかげでバンドの厚みがでて、凄みが増しました。
 このように2chステレオだけでも十二分のDVDオーディオですが、サラウンドの説明もします。同じ音質でサラウンドになります。

前期3作品の、サラウンドとアルバム説明

 5.1chサラウンドは、ドアーズの音楽の発展と呼応する感じです。

 67年のデビュー・アルバム『ハートに火をつけて(The doors)』のサラウンドは、さすがに後ろに回す音はなく、アンビエントとして処理。前方に2chステレオが広く現れるため、スピーカーからの音というよりも、臨場感のある空間になる。

 67年セカンド『スレンジ・デイズ(Strange Days)』では、少し後ろにまわる音があらわれます。アルバムの性格上、リアに使える音が増えてきたのでしょうね。ファーストに劣らず、ドアーズらしいアルバム。

 68年のサード『太陽を待ちながら(Waitng For The Sun)』で、さらにリアに回る音が増えてきます。音数は少ないのですが、リアに音が配置されても違和感がないのが特筆。

後期3作品の、サラウンドとアルバム説明

 69年の『ソフト・パレード(The Soft Parade)』で、サラウンド全開。
 ブラス・セクションやストリングスを加えた本作は、ドアーズらしくないポップさに賛否両論ですが、サラウンドではリアから、ベタにブラスやストリングスを鳴らします。
 これがサマになってしまうのですから、サラウンドも奥が深い。エンタテイメント性を感じるサラウンドです(ドアーズなのに!)。

 70年作『モリスン・ホテル(Morrison Hotel)』でもサラウンドは遠慮なく使われます。
 基本、ヴォーカル、ドラム、ベース、ギター以外がリアに回ります。
 音楽としては前作の反省か、冒頭の「Roudohouse Blues」のブルース・ギターの印象もあり、ブルース色の濃いアルバムですが、聴き続けるとドアーズらしいアルバムでもあります。

 最後のアルバム、71年の『L.A.ウーマン(L.A.Woman)』では、音も動かすようになります。ドラムの細かいおかず音を、すばやく移動させたりする箇所も効果的。
 タイトル曲「L.A.ウーマン」は、CCRも真っ青のノリのいい曲。「risn'、risin'」と叫ぶモリスンのヴォーカルは、四方八方からあらわれ、彼がステージで暴れているかのよう。
 究極はラストの「Ridars On The Storm」。
 降りしきる雨の音がリスニングルームに広がり、雷鳴が鳴り響く。自然音ながら、サラウンド・ファンにはゾクっとくる瞬間でしょう。
 荒涼とした雨音と雷鳴に囲まれながら、モリスンが切々と歌います。この録音のあとしばらして、モリスンはパリで客死。アルバムは遺作になったのでした。

2012.1.13

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ドアーズのSACD
B005804MHE ハートに火をつけて (SACD/CDハイブリッド盤)
DVD-Audioの音源を使用したSACDハイブリッド盤。マルチチャンネルも収録。ボーナストラックも入る。