ジャンル SACD
ポップス・スーパーオーディオCD(SACD) おすすめソフトレビュー

マイク・オールドフィールド チューブラー・ベルズ

MIKE OLDFIELD
TUBULAR BELLS

(4.0chマルチ)
国内盤、東芝EMI
(輸入盤もあり)

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TOWER RECORDS

国内盤解説書にはサイモン・ヘイワーズによるリマスターについてのノート、フィル・ニューウェルによる4チャンネル・サラウンド・ミックスについてのノートの日本語訳付き。

曲は「チューブラー・ベルズ・パート1」と「チューブラー・ベルズ・パート2」。アナログではA面とB面に入っていたとおり。

通常のプラケース。

70年代ロック、孤高の『チューブラー・ベルズ』

 1973年にヴァージン・レコード第1弾として発売されたこの『チューブラー・ベルズ』。冒頭の部分が映画『エクソシスト』のサウンドトラックに使われ話題となり、大ベストセラーになったアルバムです。
 『チューブラー・ベルズ』は制作当時19歳のマイク・オールドフィールドが、ほとんどの楽器を演奏し、えんえんとオーバー・ダビングを繰り返して完成させた作品です。
 その楽風から、当時人気のプログレとも共通項があるわけですが、密室的な作業のせいか、プログレとも一線を画す、70年代ロックでも孤高の作品に仕上がったと言えるでしょう。同じ年に発表されたピンク・フロイドの『狂気』とならんで“異彩を放つアルバム”と思います。
 それだけにマニア度は高く、今までに色々なバージョンが発売されております。今回のSACDはどんなでしょうか。

若者の作り上げた一大叙事詩

 オカルト映画『エクソシスト』に冒頭部分が使用されたことが、『チューブラー・ベルズ』全体への誤解をまねき、ある意味不運だったと言えます。
 あの有名なメロディーだけで、『チューブラー・ベルズ』を不気味な音楽と勘違いする人も多いでしょうが、それは最初だけ。あとは、マイクオールド・フィールドの描く音のランドスケープであり、時にイギリス・トラディッショナルな雰囲気をたたえた一大叙事詩ともいえます。コンピューターのない時代に、19歳の青年が、よくこれだけのものを作ったと感動してしまいます。

マルチチャンネルには、当時の4チャンネルミックス

 この作品、オーバーダビングを駆使したのが信じられないほど、音質はすごくいいです。
 2chSACDは、リマスターバージョンが使われているようです。マルチチャンネルには、当時作られた4チャンネル・レコード用のミックスが収録されています。
 この4チャンネル・ミックスでは、曲の最後に場違いな陽気さで置かれている「セイラーズ・ホーンパイプ」がちょっとちがう(酔っぱらったような足音がリスナーの周りを回る。リリース時、足音はレコード会社からカットされた)。
 サラウンドはともかく、この足音入りのほうがマイク・オールドフィールドの考えていた“オリジナル”に近いそうです。ファンの方はそこの聴きくらべも楽しいでしょう。

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TOWER RECORDS

2007.9.14

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