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フランク・ザッパ  ハロウィーン

FRANK ZAPPA
HALLOWEEN

輸入盤、DVD- AUDIO

Amazon

映像は「スーサイド・キャンプ」(白黒)、「ダンシング・フール」(カラー)のライヴ映像。どちらも音はモノラル。

あと全収録曲の歌詞(ザッパの喋りまで文字にしてあります)。ラジオ・インタビュー(映像なし)。ディスコグラフィーを収録。

ブックレットにはCarl Baugherの長いライナー。収録曲の解説から5.1chサラウンド化のことまで含めて書いてあります。

収録音声
・DVDオーディオ 5.1サラウンド(96kHz、24bit)
・DTS 5.1サラウンド(96kHz、24bit)
・PCMステレオ(48kHz、16bit)

 

フランク・ザッパのハロウィーン・コンサート・ライヴがDVDオーディオで

 本作はフランク・ザッパのニューヨークでの78年ハロウィーン・コンサートを収録。24トラック・アナログレコーディングされたものを、息子のドゥイージル・ザッパが5.1chサラウンドとして制作したDVDオーディオです。英文ライナーによればDTS側がザッパ・ファミリーに、5.1ミックスを提案してきた企画らしい。
 演奏自体はたぶん、どれも未発表と思いますが、曲は「ダンシング・フール」「イージー・ミート」「ブラック・ナプキンズ」など有名どころもやっています。
 ザッパ・マニアのためにメンバーを書いておくと、ヴィニー・カリュータ(ds)、アーサー・バロウ(b)、パトリック・オハーン(b)、トミー・マーズ(key)、デニー・ウォーリー(g, vo)、ピーター・ウルフ(key)、エド・マン(per)。
 そしてヴァイオリンでL.シャンカールも参加。ラストの17分におよぶ「ブラック・ナプキンズ」ではザッパと粘着的ソロを繰り広げます。

 アナログらしい音にライブ会場の空間

 DVDオーディオ 5.1chサラウンドで聴いてみました。
 音質はアナログ録音の厚みを堪能できると思います。特に低域に重心を置いた音。バンドのいろいろな音が豊かに鳴ります。5.1chだけあって、普通の2chより立体感のあるバンド音であります。
 サラウンドは、ライヴ感バッチリの空間です。
 演奏中も観客の声援が周りからたくましく聞こえ、ライヴ会場で聴いている感じになります。
 サラウンドといってもライヴですので、後方に楽器を配置することはありません。あくまでライヴ空間の前方にバンドを配置するサウンド・デザイン。「ライヴでザッパを聴いている!」サラウンドといえましょう。
 唯一の例外はドラムソロ「“Zeets”」で、この曲だけはドラムの音がグルグルと360度周ります。「5.1chファンを喜ばせたかった」とライナーでCarl Baugherが書いていますとおり、サラウンドのスピーカー・チェックにも使えそうな楽しいものですが(笑)、この演出も“ザッパ的”であり、違和感はありませんね。

サラウンドでの聴き所はザッパのギターソロ

 でも、僕が5.1サラウンドでもっとも感激したのは、随所で聴けるザッパのギターソロ。
 ザッパがエリクトリック・ギターの名手なのは今さら言うまでもありませんが、サラウンドで聴くと、今までCDで聴いてきたのとはランクのちがう感動がありました。
 ザッパのソロ・ギターの音が残響をともなって立体的に、ライヴ会場のようにリスニングルームに響きます。
 “臨場感のあるザッパのソロ”。ああ、こんな音でザッパのソロが聴ける幸せ。ギター一本のためにサラウンドがこんな効果を出してくれるのも珍しい。

 フランク・ザッパのライヴ盤は数多くあり、どれも個性的なものですが、パッケージに「71番目の公式アルバム」とクレジットされていることからも分かるように、この『ハロウィーン』もそれに匹敵する内容と思います。
 ユニバーサルプレーヤーならDVDオーディオの高音質で、普通のDVDプレーヤーでDTSサラウンドとPCMステレオの再生が可能。

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他のフランク・ザッパのDVDオーディオ
Quaudiophiliac
DVDオーディオ。こちらは生前のザッパが4ch仕様でミックスした曲。未発表音源を含む。
2010.1.9