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ルネッサンス
シェエラザード夜話

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Renaissance
Scheherazade & Other Stories

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Hybrid Stereo/Multi-ch
輸入盤 Audio Fidelity

SACDマスタリングはケヴィン・グレイ。

プラケースに紙ケース。紙ケース裏には限定ナンバーのシール。ブックレットには英語歌詞、アナログLPのレーベル写真、メンバーの写真など。

収録曲

1 Trip To The Fair 10:51
2 The Vultures Fly High 3:04
3 Ocean Gypsy  7:05
4 Songs Of Scheherazade 24:37

イギリスのプログレ・バンド、ルネッサンスの75年作品

 本作はイギリスのプログレ・バンド、ルネッサンスの1975年作品です。Audio FidelityからのSACD化で2ch。

 ルネッサンスというバンド、恥ずかしながらこのSACDが出るまで知りませんでした。この『シェエラザード夜話』は1975年発表というのですから、当時の音楽雑誌「ミュージック・ライフ」で見かけたはずだろうけどナア…、と首をかしげてしまいます。
 まあそれはともかく、このSACDでルネッサンス初体験。
 若葉マークでレビューします。

Audio Fidelityらしい、自然体の高音質

 まずSACDの音質ですが、今までのAudio Fidelityの流れをくむナチュラルな仕上がりでした。
 決して派手ではないですが、自然な音。硬質系のピアノ音ならそれなりにきらびやかに、ウォームなヴォーカルやストリングスは、そのまま柔らかく、といった自然体。
 アルバム全編を、ずっと聴い続けていられるウォームな高音質と言えましょう。

伸びやかなアニー・ハズラムの美声はクセになりそう

 本作はアナログLPではA面の3曲と、B面全部を使った組曲形式の「シェエラザード夜話」の計4曲。

 聴いてみると、70年代に活躍した大物プログレ・バンドとは、大分ちがいました。
 ルネッサンスの音楽は、ドヤ顔のテクニック偏重でもなく、頭でっかちなコンセプト偏重でもありません。
 プログレでありながら、作為性や構築性によりかからず、 自然な「歌」として音楽が流れていくのです。

 その最大の原因は、やはり女性ヴォーカル、アニー・ハズラムの歌声でしょう。
 まるでミュージカル歌手のような、それだけで完結する美声。まるで、アバのヴォーカルが、プログレを歌っているかのようなさわやかさです。
 伸びやかで、素直な歌い回しもいい。彼女の歌声は、ちょっとクセになりそうです。

リード・ギターを置かず、流れるようなプログレ

 もうひとつ、リード・ギターを置かず(アコギのみ)、キーボードがバンドをリードするところも特徴です。
 リード・ギターのアドリブなどがないせいで、音楽がロック・テイストに肥大せず、トラッド風味の曲調になっている気がします。

 またリード・ギターがないところは、「シェエラザード夜話」での、クラシック・オーケストラが自然に溶け込む効果に一役買っている気もします。
 当時「ロックとクラシックの融合」は、どのバンドも苦労するテーマでしたが、こうアッサリやられてしまうと、あの頃の他のバンドの苦労が噓のように感じられるほど。

 というわけで、理屈や構築性で停滞しない、流れるようなプログレ。その上に伸びるアニー・ハズラムの美声。トラッドでクラシカルな風味。
 そんなルネッサンスの音楽が満喫できました。何度も聴きたくなるSACDであることは間違いないですが、 やっぱりスティーヴン・ウィルソンにサラウンド化してほしかった(笑)

B00KB01OOU
ルネッサンス/Scheherazade & Other Stories

2014.7.25