74年作品のSACD化、サラウンドも収録
ビリー・ジョエルの1974年作品『ストリートライフ・セレナーデ』がSACD化された。それも4.0chのマルチチャンネル収録である(このサラウンドが当時の4チャンネル・ミックスかは不明。ブックレットにはサラウンドのミックスがDon Youngという記載が載っている)。
さっそくマルチチャンネルで聴いてみました。
雰囲気としては、74年当時の4チャンネルミックスのようなサラウンドです。楽器がリア・スピーカーに、ベタに配置されるスタイル。
しかし、思いのほか不自然に思わないサラウンドでした。
リア・スピーカーに配置される音に、うまいことフロントを邪魔しないで、サラウンドを作る音が選ばれているからかもしれません。曲によってはピアノやドラムまでリアに回ることがありますが、意外と、そうと気づきませんでした(笑)

パッケージはAudio Fidelity特有の窓あきの紙ケース入り。ブックレットは最初はプラケースの裏に入っている。箱の裏に限定ナンバーのシール。
「ビリー節」なら居心地のいいサラウンド
というのも、このアルバム、ビリー・ジョエルの歌声がやっぱりいいのです。ビリー・ジョエルの声がセンターで歌い上げているだけで、まとまって聴こえてしまうのです。
サラウンドの出来としては、最新のサラウンドにとうてい及ばないと思いますが、なぜか聴けてしまう。やっぱり「ビリー節」が、サラウンドさえも束ねてしまう力を持っているのでしょう。
「ビリー節」はサラウンドだけでなく、アルバムのクオリティも高めています。
弾き語りの「スーベニア」が、かなりの名曲であり、「ストリートライフ・セレナーデ」がなかなかの名曲でありますが、アルバム全体としては、『ニューヨーク物語』以降の作品より地味。
でも「ビリー節」のせいで、まことに居心地のいい38分を過ごせてしまうのでした。
僕としては、昔聴いていなかったこのアルバム、をSACDを機会に聴くことができてよかった。
音もアナログ録音を伝える濃い口の音に思います。サラウンドか2chかは、お好みで。
 ▶Streetlife Serenade
 2015.6.5
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