PINK FLOYD
WISH YOU WERE HERE

輸入盤
Analogue Producitons
2018年再発売
▶Tower Records
▶Amazon
縦型のハードカバーのデジパック仕様。アナログの有名なジャケットではありません
。

絵ハガキを6枚収録。貼付けられたブックレットは、綺麗な印刷だけど、歌詞と写真が少々の単純なもの。

最後にピクチャーディスクを収録。

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サラウンドで、妖艶な“プログレ”に変貌
本作は傑作『狂気』に続く作品。
しかし『狂気』ほどエンタテイメント性はなく、仕掛けも薄いので、個人的には、プログレというよりは、“長ったらしいロック”の印象でした。
まあ、そこが逆に「『狂気』よりいい」と言うファンもいて、僕もそのストイックさを、LPで愛聴してきたのですが…。
しかし、SACDマルチチャンネルで聴くと、『Wish You Were Here』はまぎれもなく“プログレ”でありました!
それくらいサラウンドは、2chとは別の世界です。
全体にオルガンやシンセなど、長尺の音が多いのが本作の特徴です。それが天からそそぐように、リスニングルームに広がります(特にアルバム冒頭)。この音がアルバム全体を通じ、なめらかできめ細かいサラウンドを構築しています。
そんななか「Shine on you crazy diamond」で聴ける、ギター・サウンドは、残響が大きく広がり、妖艶です。「Part 1-5」での、最初にあわれる印象的なフレーズにゾクッときました。「Part 6-9」のギター・サウンドは雄大で深みがあります。
アコースティック・ギターの柔らかで繊細な音が、巨大な音像で左右から現れたかと思えば、タイトにフロントで鳴るドラムスとヴォーカル。
チャラチャラした演出はなく、どこまでもムーディに鳴り響くサラウンドは、『狂気』のサラウンド以上の変貌を、このアルバムにもたらしたと思います。
こんなサラウンドも
もちろんサラウンド効果をねらった演出もあります。
「Welcome to the machine」での、機械の分厚い効果音は、スピーカー間を動き、まさしく「重工業な」サラウンド。
「Have a cigar」から「Wish you were here」へ続く、レトロなラジオ音は、リア右スピーカーに置かれ、孤独な室内を演出。でもトータルでは、なめらかに繋がった360度の音です。
もちろんSACD2chの音も、きめ細かく、厚みのある音で、高音質です。バスドラの含みのある低音や、アコースティック・ギターなど聴き所は多いと思います。
でもサラウンドにくらべると、2chは、やっぱり平面に思えてしまいます。大きく翼を広げた『Wish You Were Here』に包まれる方がおススメです。5.1サラウンドはジェームス・ガスリーによるもの。
2018年再発売
▶Tower Records
▶Amazon
ピンク・フロイドのSACD
 2011.12.5
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