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スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル Texas Flood


Stevie Ray Vaughan & Double Trouble
Texas Flood

オリジナル発売1983年
輸入盤、epic/LEGACY
SACD専用

Amazon 本レビューのもの

Amazon (Mobile Fidelity) 2011年発売。本レビューとは音質が違う可能性があります。

SACDの詳細
普通のプラケースに透明カバー付き。3ページほどのライナー。ボーナストラックを5曲収録。ボーナストラックの3曲のライヴ(初出)も興奮の演奏。

ブルース・ギターのすさまじく、楽しく、自由なプレイ

 本作はスティーヴィー・レイ・ヴォーンのデビュー作。大ヒットを記録したアルバムです。日本では『テキサス・フラッド〜ブルースの洪水』とタイトルされました。
 このアルバムを聴くと、確かに“ブルースの洪水”です。
 でも、それ以上にショッキング! スティーヴィー・レイ・ヴォーンのギター・プレイに度肝を抜かれます。
 ドラムとベースだけをバックに、全編、スティーヴのストラトキャスターが、とどまるところをしらない。まさに“ギター・アルバム”と呼べるものでしょう。

 スティーブが素晴らしいギタリストであるのは確かですが、ジミ・ヘンドリックスやジミー・ペイジ、エリック・クラプトンら有名ギタリストとはちょっとちがう感じです。
 彼らが、無限な自我の中のギタープレイ、とすれば、スティーヴ・レイ・ヴォーンのギタープレイは「ブルースの汎用性の中のプレイ」といった感じ。コード進行、小節というブルースの制約のなかでの「すさまじく、楽しく、自由なプレイ」です。
 演奏が始まるや、グワシッとこちらの心を掴みとり、グワァーンと終了。ある意味、ブルースのあっけらかんとした進行のなかで、スティーブはなんと、こちらを魅了するフレーズや音を出すことか。こんなギター奏者は希有だと思います。聴く者は頭を振り、身体を動かして、ノリノリになってしまいます。

 脳にダイレクトに伝わるロック

 いつも思うのは、「このアルバムをタワーレコードなどの店内で突然かけたら?」ということです。
 最初の「Love Struck Baby」で「何だこれは?」とお客さんも手を止めるでしょう。「演奏しているのは誰?」と、レジに向かう人もいるかもしれません。
 5曲目「Testify」、6曲目「Rude Mood」で絶頂感に達し、「これは買って帰らなければ!」なんて思うかもしれません。
 そんな楽しい空想をしてしまうくらい、小難しいロックが多くなったなか、『Texsas Flood』は脳にダイレクトに伝わるロックなのです。
 残念ながらスティーブは1990年に事故で亡くなってしまいましたが、彼のギタープレイは(そしてこのアルバムは)、グワシッと聴いた者の記憶に刻まれます。

 SACDの音はやわらかい! その一言

 SACDの音は、「すごくやわらかい音」です。スティーヴはコードで鳴らすフレーズも多いのですが、これがSACDでは格別にいいです。コードだと倍音がでるのでしょうか。クラシックにたとえるなら、チェロのSACDを聴いているような音の豊さだと思います。
 ドラム、ベースの音もやわらかい。スティーヴのヴォーカルも綺麗な音です。オーディオ的にはSACDで聴いてもらいたい一枚。ロックファンには、CDでもぜひ聴いてもらいたいアルバムです。

Amazon

スティーヴィー・レイ・ヴォーンのSACD
テキサス・ハリケーン In Session
2010.4.16