akiko
Mood Swings

国内盤、VERVE
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普通のプラケースにブックレット。ブックレットには歌詞とフォト。本作は2003年のスイングジャーナル・ジャズ・ディスク大賞ボーカル賞 (国内部門) を受賞。
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退屈しない「クール&スタイリッシュ・サウンド」
名門ジャズレーベル“ヴァーヴ”の女性シンガー、akikoのSACD『Mood Swings』を聴いてみました。
クラブDJ須永辰緒氏をプロデューサーに迎えての作品。ストレートなジャズにラテン、クラブ風味、ヒップホップ風味を足したコンテンポラリーな音楽です。宣伝文句は「クール&スタイリッシュ・サウンド」。
おやおや、そういうのって、文字ずらからカルいかも……。
耳の肥えた音楽ファンは、そう先入観を持ってしまうと思いますが、聴いてみるとこれが十分に楽しめ、退屈しませんでした。47分が短く感じられたくらいです。
マルチチャンネルは“音のコックピット”
マルチチャンネルのサラウンドは特筆ものです。ジャズなのにプログレなみにエキサイト感あるサラウンド。
リスニングルームに広がる音は、ゴージャスでスピード感がある。まるで“音のコックピット”に座っているようです。
演奏がまた巧い。だからこのサラウンド、聴きごたえがあります。
加えて音がいいですねえ。柔らかい音は、さらにやわらかく、一方ベースやバスドラなどは、ムチのように閉まった音。腹からのど元にかけてビシッとこちらの身体にあたる感じ。
このSACDには、高音質盤という評価をあげたいです。
akikoと山下洋輔のデュオ、ヴォーカル、マルチとも秀逸
akikoのヴォーカルがもっとも、自然、かつ説得力があるのは最終トラック「ソフィスケイテッド・レディ」だと思います。
このトラックだけライヴ録音。それもピアノとのデュオです。
オーソドックスな前奏を期待しているこちらを裏切るように、ピアノは前奏から「我が道を行く」演奏。 ガンガン、フリーのように弾くものだから、クレジットを確認したところ山下洋輔!でした。
もちろんakikoのヴォーカルが入るときには、しっとりとしたオーソドックスなジャズへ。このakikoのヴォーカルは本作ベストトラックと思います。彼女はライヴで本領発揮するのでしょうか。
加えて、マルチチャンネルがライヴハウスの雰囲気を伝えていてこれも秀逸。いつかこのデュオのライヴのマルチチャンネルSACDを出してもらいたいものです。
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akikoのSACD
 2010.4.08
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