5人のトップピアニストと共演したサードアルバム
若いのに歌のうまいティファニーのサードアルバムです。
今回は小曽根真、秋田慎治、海野雅威ら5人の国内トップピアニストを迎えて制作されました。
冒頭、「五木の子守歌」での導入には驚きました。曲はすぐにガーシュインの「サマータイム」に移行、コードの変わりどころがゾクッとさせます。日米の夕暮れのような曲メドレー、その効果は製作者の意図どおりでしょう。
そのあとは「バット・ノット・フォー・ミー」「ムーン・リヴァー」などで聴かせます。
ティファニーは外見から、エラフィッツジェラルドのような「パンチの効いた馬力ヴォーカル」と思われるかもしれませんが、そんなことはなく、どちらかというとキュートでちょっとコケティッシュなヴォーカルです。
もちろん小さい頃から教会で歌っていただけあって、張りのある聴かせるタイプであることは言うまでもありません。
さらにトップピアニストを迎えただけあって、ティファニーが歌っていない部分も、単なる“間奏”で終らないところがさすがです。あたかも一流のジャズコンボを聴いている感じ。
ピアノのほか、小沼ようすけ(ギター)ら、サポート陣も同様。個人的には、後半の3曲「テイク・ファイブ」「ナイト・アンド・デイ」「アイ・ソウト・アバウト・ユー」での、白熱の演奏&歌いっぷりが好きでした。
最後「アメージング・グレース」で静かにアルバムを締めくくります。
〈音匠仕様〉を取り入れ、さらに高音質
毎度、音が良いSACDでお馴染のEIghty-Eight'sレーベル。DSDレコーディングはお約束としても、今回は初めてソニーが開発して評判の〈音匠仕様〉を取り入れての発売です。
〈音匠仕様〉のディスクは緑色に塗られています。
なんでも、この緑色がピックアップ光線の赤・オレンジ色(だったか)の補色となり、光線を吸収して乱反射するのを防ぐ。その結果、コンピューターの補正作業がなくなり(普段、読み取りにかなり補正をしているのだそうです)、音質再生に全力を向けられる。よって音がよくなる……。
なんて、うろ覚えですが、筆者は〈音匠仕様〉を開発した人から説明をうけました。グリーンの塗料の成分も、驚くほどの数を試して決められたそうです。
ティファニーでサウンドチェックを
そんな〈音匠仕様〉は確かに音が豊かになった気がします。
プロデューサーの伊藤八十八氏のテクニカルノートがブックレットにも載っていますので、かいつまんでご紹介します。
「常日頃から、マスタリング後とディスクになった時の微妙なサウンドの差異が気になっていた」という。「具体的には、聴感上の音量感や、ややハイ上がりサウンド傾向にあるSACDやCDの特徴。リヴァーヴ感や奥行き感の表出」。
それが〈音匠仕様〉の採用により、「突然、霧が晴れたように、それまでの疑問点が一気に解決した思いがする」そうです。「中高域がすばらしいSACDサウンド、たっぷりした音量感、充実のミッド・ロウ、豊かなリヴァーヴ感など、究極のサウンドに近づいたように思う」
SACD+〈音匠仕様〉の極上のサウンド。確かにオーディオチェックにもいいですね。
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ティファニーのSACD
2008.10.31
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