オフコース 『We are』(SACDハイブリッド/45回転LPレコード)
オフコース 『We are』(SACDハイブリッド)
SACD/CDハイブリッド
企画・販売:株式会社ステレオサウンド
制作・発売:ユニバーサル ミュージック合同会社
発売日:2023年4月6日
文・杉田ヨシオ 2023年6月14日
オフコースの名盤2作が初SACD化、45回転LPレコード
ステレオサウンド(Stereo Sound)がオフコースのアルバム 『We are』と『Over』を初SACD化。SACDハイブリッドで発売された。
さらにステレオサウンドはこの2作を45回転LPレコード(2枚組)でも同時発売している。そちらの感想も文末に少し書いたので、アナログファンはそちらも参考にしていただきたい。
オフコースというとフォーク調の曲、または優しいイメージの音楽を思い浮かべる方がいるかもしれないが、『We are』は二人組フォークグループからバンドへと変わった、5人編成オフコースのアルバムだ。
と知識では知っていても、実際にこのSACDを聴くと、そのバンドサウンドに驚くことだろう。

SACDハイブリッドはグリーン・レーベル仕様。45回転LPレコードは2枚組で見開きジャケット。
バンドサウンドをあらためて認識するSACD
1曲目「時に愛は」からドスドスとバスドラの重低音。その上に乗る演奏は、日本の湿気を全く感じさせない、カラッとそしてキラキラと輝くもので、「これは洋楽のAORではないか?」と錯覚させるほどだ。
それもそのはずで、このアルバムはアメリカのレコーディング・エンジニア、ビル・シュネーの手になるミックスなのである。なるほど、音も名刺がわりになるんだと納得した。
『We are』の音は、ビル・シュネーの手がけたTOTO、ボズ・スキャッグス、スティーリー・ダンの音につながる。
しかし、これは日本人によるサウンドなのである。カッコいい。それがSACDで、さらに堂々としたバンドサウンドになった感じだ。昔の洋楽のファンで、最近聴くものがなくなったと思う方は『We are』にも手を伸ばしてみると良いと思う。
SACDはバンドサウンドだけでなく、アコースティックな楽器にも威力を発揮する。アコースティック・ギターは粒立ちよくきめ細やか、コーラスワークは繊細だ。
リマスタリングはステレオサウンドがリリースしてきた数多くのSACDで信頼を得ている松下真也氏(スタジオ「PICCOLO AUDIO WORKS」)。オリジナル・マスターテープからDSD化された。松下氏の機材へのこだわりと見識はオーディオ評論家の方もうなるようで、ここでもいい仕事をしている。
アルバムにはヒット曲「Yes-No」を収録。小田和正のヴォーカルはもちろん、別の曲での鈴木康博のヴォーカルもいい。
45回転LPレコード、圧倒的な音の放出力
45回転LPレコードも聴いたので簡単に触れたい。
45回転LPレコードの音の迫力、繊細さ。どれもSACDと同等なのではあるまいか。分厚い音もしかり、サーフェイス・ノイズがなくS/Nも申し分ないから、デジタルとアナログの差がつかなくなっている。
ただひとつ、肌触りのレベルで感じる差があるとすれば、45回転LPレコードは音の放出力というか、間口の広い蛇口から、スムーズに、惜しげもなく音が出てくる感触が目に見えるよう。それがなんとも心地よい。
このあたりシステムやカートリッジ、プレーヤーの違いがあるので、参考程度に読んでもらいたいのだが、一つだけ確実に思うのは、33回転でなく45回転で良かった、ということである。
各面2曲か3曲しか入っていないカッティングは、アナログファンには盤面を見るだけでご馳走である。贅沢なレコードだ。
オフコース 『We are』(SACDハイブリッド)
SACD/CDハイブリッド
企画・販売:株式会社ステレオサウンド
制作・発売:ユニバーサル ミュージック合同会社
発売日:2023年4月6日
オフコース 『We are』(LP)
仕様:LP・2枚組 45回転
企画・販売:株式会社ステレオサウンド
制作・発売:ユニバーサル ミュージック合同会社
発売日:2023年4月6日