ルパン三世 1977～1980 ORIGINAL SOUNDTRACK ～for Audiophile～ Analog Edition

文・杉田ハルオ　2023年4月23日

『ルパン三世』のサントラがアナログレコードで

ステレオサウンド（Stereo Sound）が『ルパン三世』のサントラをアナログレコードでリリースした。33回転LPレコード2枚組。180g重量盤。

アナログレコードの前に、まず先行で2021年にリリースされたSACDハイブリッド盤の話から始めたい。

ステレオサウンドは2021年にSACDハイブリッドで『ルパン三世 1977～1980 ORIGINAL SOUND TRACK ～for Audiophile～』をリリースした。

収録曲はテレビ番組『ルパン三世PART2』の放送時(1977年～1980年)に発売された、オリジナルサウンドトラック3作品の中から20曲を収録している（それらのアルバムジャケット3点が今回のジャケットにあしらわれている）。

今回のアナログレコード2枚組は、そのSACD/CDハイブリッド盤の全収録曲に加えて、劇場映画第2作『ルパン三世 カリオストロの城』のテーマ曲「炎のたからもの」を加えた21曲を収めている。

製作は日本コロムビア株式会社の全面協力の下、前述の1978年～1980年に発売されたアナログレコード『ルパン三世 オリジナル・サウンドトラック』『ルパン三世・2 』『ルパン三世・3 』用に作られたアナログマスターテープを使用した。

マスタリングおよびカッティングは日本コロムビア株式会社の武沢茂氏。3つの録音時期の異なるテープを一つにまとめるために、違和感のない音になるよう配慮して製作したという。

3つのオリジナルサントラの切れ目はテーマ曲の位置でわかる。すなわち「ルパン三世のテーマ」「ルパン三世 '79」「ルパン三世 '80」である。それらが冒頭となる。

音質はこれまでSACDラボで何度も取り上げたステレオサウンドのレコードと同じく、厚みのあるアナログサウンド。押し出しはエネルギーがあり爽快である。

サントラとしても楽曲としても楽しめるレコード

サントラの作曲とアレンジは言わずと知れた大野雄二だ。演奏は大野雄二ひきいるユー&エクスプロージョン・バンド。

誰もが知っている有名な「ルパン三世のテーマ」も、このアナログレコードで再生すると、各楽器の細部までが聴き取れ、テレビで聴いていた音楽とは全く次元の違う音楽に聴こえる。

先に書いたエネルギー感のある音だから、単にアニメの主題歌では済ませられない熱気である。

とにかく大野雄二の音楽がすごくいいのである。続く「愛のシルエット」などはマーヴィン・ゲイの音楽のようなソウル・フル。他にもフュージョン風、ラテン風など非常にかっこいい音楽ばかりだ。

『ルパン三世』のファンというより、いち音楽ファン、オーディオファンとして聴き終えて思ったのは、通常の音楽アルバムとしてとても惹かれるアルバムだということだ。それほど充実した曲が並ぶ。

もちろんサントラらしく声優さんの声が入っているトラックも一部である（最初のサントラ作品からの選曲のところで）。しかしやはり音楽と演奏の良さに心奪われるだろう。

何かスカッとした音楽を聴きたい（それもいい音で）。そんなことを考えた時に、数ある洋楽やジャズの名盤を押しのけて棚から出してしまいそう。そんなレコードを手に入れたと思っている。

最後に『ルパン三世』のファンの方のために書き添えると、LPジャケットの見開きには過去のオリジナルサントラ3作品の収録曲、製作者クレジット、演奏者リストが掲載されている。資料として役立つのではないか。