モータウンでも、サラウンドはよろしかな
僕はこのSACDは、特にマルチチャンネルは念頭になかったです。 「モータウン・サウンドをサラウンドで聴いてもねえ。常套的なサラウンドでしかないだろう」 ところがどっこい、このサラウンド、なかなかいいっす!
60年代のモータウン・サウンドがサラウンドになると、華やかさがさらに増すんです。 後ろから遠慮なくコーラスやストリングスがでてくるのですが、これが、スタジオ内でみんなに囲まれているような、ファンタジーっぽさ。70年代の懐かしいTV番組「ソウルトレイン」にお邪魔したみたいな空間になります。
ベスト盤なのでタミー・テレルとのデュエットももちろん入っている。まずは「Ain't No Mountain High Enough」。 おっと、デュエットなのに、タミー・テレルのボーカルが真後ろから出てきた! 歌姫が、うしろからの登場だ。 前方のマーヴィンと後ろのタミーが、僕をさしおいて、向かい合いながらイチャイチャしているみたいじゃんか。こういうデュエットもいい。 しかし、続く「Your Precious Love」からは、前方で二人が歌うスタイルになります。やっぱり、このほうが落ち着くかな。
タミー・テレル亡きあと、失意のどん底から復活したマーヴィンの70年代のヒット曲が次に続きます。 まずはポップス史上最もカッコいい曲(と僕は思っている)「What's Going On」。そして「Mercy Mercy Me」。 70年代のマーヴィンの音は、独特の厚みがあって、先のモータウン・サウンドとはちがったものになる。 これがサラウンドでは、マーヴィンの何層にも重ねられたボーカルが、いろいろな方向に位置していて、効果抜群。「Let's Get It On」では、まるでベッドインしているようなサラウンド感だ、って、オイオイ。 以上、「モータウンのサラウンドって、こういう味わいになるのか」と大発見でした。もちろん音も良かったですよ。
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2006.7.23
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