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ザ・ローリング・ストーンズ
レット・イット・ブリード


The Rolling Stones
Let It Bleed

Amazon(輸入盤)
Amazon(国内盤)

Hybrid Stereo
輸入盤と国内盤 ABKCO

マスタリング
このSACDハイブリッド・シリーズは、10年かけて、ストーンズが世界各地で録音したオリジナル・マスター・テープを発掘することから開始し、マスタリングをボブ・ラドウィグが手がけた。

パッケージ
本作は3つ折りのデジパック。見開きには各曲のメンバーリスト。歌詞やライナーはなし。

あとミックとキースのメッセージが書かれたカードが入っているのも、このシリーズの特徴(下)。

裏には『サタニック・マジェスティーズ』の部分写真があり、全部集めると1枚の絵になる趣向。本気で集める気はしないが(笑)。

国内盤について
国内盤は、輸入盤に日本語冊子を同梱したもの(19ページ)。ライナーと各曲の解説。英語歌詞、歌詞対訳が載っている。

ストーンズの最高傑作の、SACDハイブリッド盤

 本作がローリング・ストーンズの最高傑作であることは、万人が認めるところだと思います。
 1969年の録音。この年、ビートルズに『アビイ・ロード』があるならば、ストーンズには『レット・イット・ブリード』。両横綱がガップリ四つに組んだ傑作です。

 もし初めてストーンズを聴くなら、このアルバムがオススメ。60年代ストーンズの総決算であり、70年代につながる分岐点でもあります。
 ここから時代を下るもよし(『スティッキー・フィンガーズ』『メインストリートのならず者』方面)、さかのぼるのもいいでしょう(『ベガーズ・バンケット』『サタニック・マジェスティーズ』方面)。SACDラボとしては60年代を聴いてもらいたいのですが……。

余裕のストーンズに、ミュージシャンが彩りをそえる


ピクチャー・ディスクにはミックとキースの人形。他の3人のメンバーの人形もジャケット見開きに載っている。

 このアルバムで、ストーンズは今まで以上に余裕と自信にあふれています。ジャガー&リチャーズのソング・ライティングも脂がのってきました。

 キースの5弦奏法はこのアルバムから。
 脱退寸前のブライアン・ジョーンズは、ほとんど存在感がないのですが、2曲にクレジット。そして新メンバーとなるミック・テイラーが「カントリー・ホンク」でスライド・ギター。

 有名ミュージシャンも多数参加して、彩りをそえています。
 「ギミー・シェルター」でのメリー・クレイトン女史のヴォーカルは素晴らしい。レオン・ラッセル、ニッキー・ホプキンス、ライ・クーダー、アル・クーパーらも適材適所で“いい仕事”をしています。

高音質のストーンズを堪能できるSACD

 ABKCOからリリースされた、ストーンズのSACDハイブリッド盤のなかで、文字どおり〈高音質のストーンズ〉を堪能できるのが、この『レット・イット・ブリード』だと思います。

 全体的には、みずみずしいアナログ・サウンド。
 聴いていくと、「この音、すごい」「これもすごい」と、良い音に次々に出会います(高解像度の感じ)。
 たとえば「ラヴ・イン・ヴェイン(むなしき愛)」「レット・イット・ブリード」のアコースティック・ギター。ガリガリと鳴ってくれます。チャーリー・ワッツのドラムも、ドスドスときます。

 最後の「無常の世界」は、ストーンズ流“クラシックとの融合”でしょうか。ロンドン・バッハ合唱団のコーラスが駆け上がっていく終盤は、何度聴いても鳥肌が立ちます。
 ジャケット見開きには「THIS RECORD SHOULD BE PLAYED LOUD」の文字が。この言葉はSACDのためにあるようなものでしょう。SACDですと大音量でも、キンキンせず、柔らかい音で聴けます。

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SACDラボ特集 ザ・ローリング・ストーンズのSACD
2002年にAbkcoからリリースされたSACDハイブリッド盤をまとめてご紹介。
2012.5.31