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シカゴ
Chicago Quadio Box【Blu-ray Audio】


Chicago
Chicago Quadio Box

Tower Records
Amazon


輸入盤
Blu-ray Audio 9枚組


ボックスの裏のベタなまでの4chの説明。まるで70年代に帰ったような図ではありませんか。 当時SQ4chのレコードには、こんな解説書がついていたものです。


紙ジャケがなかなか良くできています。閉じ具合、開き具合は良好。紙質はオリジナルに近づけて、アルバム毎に違います。お札のデザインのパロディの『シカゴVI』では手触りがガザガザの紙になっています。

『シカゴVII』もオリジナルどおりエンボスになっている。


各アルバムのレコード袋、オリジナル付属ポスター、ブックレットなども、 紙質まで近づけて復刻してあります。


これでも全部ではありませんが、豪華な内容です。 『シカゴV』もポスターが複数で復刻など、 出てくる、出てくる、シカゴって当時オマケが多かったなあと実感。

これはシカゴの70年代のアルバムを2chだけでなく、当時の4ch(Quad)録音をそのままBlu-ray Audioに収めたものです。ディスクを入れると自然に4chが演奏されます。4chと2chの切り替えは、リモコンボタンの赤色(サラウンド)黄色(2ch)ボタンで演奏中でも停止することなく(5秒くらいのブランクがあり)切り替えることができます。

Chicago Transit Authority / シカゴI(シカゴの軌跡)

写真は演奏中のスクリーンです。歌詞は出ません。

1969年録音ということでサラウンドはやはり厳しい所があります。 特にブラスセクションがオリジナルテープが1トラックに入っているためか、リア・スピーカーの一つにだけにあてがわれています。広がり感が出せず制作者も苦しいところでしょう。なので「クエスチョンズ67/68」も前方が手薄になります。

ただ全部を聴いたわけではないので、曲ごとに微妙に配置は違うようです。まあ、ボタンひとつで2chにもなるわけですので、このアルバムは大目に見たいと思います。ただベース、ドラムのリズム隊、ソロ管楽器がフロントというのはよかったと思います。

シカゴ - Chicago

このセカンドアルバムは70年発表なので、ファーストのように苦しいサラウンドかと思ったら、かなりイケるサラウンドでした。

ブラス・セクションがフロントです。もちろん他のアルバムのように、ブラス・セクションがリアの部分も多くみられますが、コーラスとかヴォーカルが前方にないところでは、フロントにあらわれます。

他のアルバムの4chもこれくらい、ブラスセクションに関しては臨機応変でもよかったのではと思うのですが、まあ40年前の4ch制作のことを、あれこれ指摘するのはふさわしくありません。。とにかくLP2枚組で聴き通すのに忍耐のいったセカンドが、4chでグッと聴きやすくなりました。

シカゴIII - Chicago III

このサードアルバムの4chも結構良かったです。 というか、4chで初めてmすんなりLPでは2枚組のこのアルバムを聴き通せた。そして良さが分かったのでした。

このアルバムは組曲が多く、ところにより実験的、現代音楽的な部分もあり、それが少々「頭でっかち」で、2chでは退屈してしまうのですが、4chでエンターテイメント色が混じると、苦もなく聴けてしまいうから不思議です。

名刺代わりのブラスはリアに回されていますが、左右にチャンネル分けされているので、ファーストほど陳腐ではありません。

それよりもちょっと考え方を変えて、リアのセッティングを自分のやや斜め後方あたりにして聴くといいかもです。つまりブラスをリアと考えず、フロントが自分のやや後ろまで拡張されていると考えると、素晴らしい空間で聴けるのです。

もちろんそんなことを意識しなくても「フライト602」とか多重コーラスのある曲はサラウンド感がバッチリですし、さきほどの現代音楽風の部分もサラウンドの効果で大変面白く聴けます。ブラスが強烈に吹きまくる「組曲エレジー」もサラウンドで生きてきます。

シカゴV - Chicago VI

シカゴ初の1枚ものアルバム。「サタデイ・イン・ザ・パーク」が入って個人的に印象深いのですが、この4chもまずまずかと思いました。ブラス・セクションはリアですが、それは他のアルバムと同様で、ここまで聴いてくると慣れてくるというのか、そんなに不自然にも感じなくなるものです。

こう考えてみると、一番最初に聴いたファーストの4chなんかは、もう少し吟味して聴いてもよかったのか、とも思います。

でも音質そのものにふれますと、2chも4chも、今回のBOXの音は、これは未確認なんですが、個人的な印象ではリマスターしてないんじゃないかと思うくらい、素の「70年代のまんま」という音がしないでもありません。現代風のパワフルな音圧を感じませんので。それも今回の4chの好きなところです。

シカゴVI(遥かなる亜米利加) - Chicago VI

これも4chはグッドでした。SACDラボが一番ロックにのめり込んでいた1973年発表の作品なので、レコードで、なんとか好きになりたかったのですけれど、何度聴いても馴染めなかったアルバム。

それが今回の4ch、初めてすーっと苦もなく聴けました。ジワジワと盛り上がる曲は、4chで聴くほうが迫ってくるものがあります。

1カ所、管楽器のソロで音がぐるりと一周します。このボックスの4chは音が移動する部分はここまでなかったのですが、ここで一回だけ音が動きました。ニヤリとしました。

Chicago VII / シカゴVII(市俄古への長い道)

一番期待したこのアルバムは、やっぱり期待どおりのサラウンドでした。ここまでくると、トラック数が増えているためか、コンガとかいろいろな音でサラウンド感を演出しています。ブラス・セクションもチャンネル分けがされているようでした。

レコードではLPでは1枚目のジャズ・ロックというか、ジャズ・プログレというか、そういう世界感がサラウンドでバッチリだと思いました。このサラウンドだけで今回のボックスセットを買った甲斐があったと思ったくらいです。

シカゴVIII(未だ見ぬアメリカ) - Chicago VIII

1975年発表のシカゴの転機っぽい作品。実をいいますと、このアルバムは今回の4chで初めて聴きました。

確かに当時はシカゴ・ファンにお叱りをうけそうな路線変更ですが、こうして40年後に初めて聴きますと、つまりその後のAOR路線のシカゴまで知っている人間が聴きますと、そんなに悪くないと思います。

例えれば、ジーンズを脱いでナイト・クラブにでも出かけそうなシカゴの音ですが、まだまだブラスは炸裂。 各音が柔らかく溶け込んでいる音作りなので、サラウンドも上々の空間になります。これは普通に聴けるサラウンドかと。

特に最後の「Old Days(追憶の日々)」はストリングスが加わって、ゴージャズなサラウンド感を味わえると思います。この曲はいいですねえ。ということで、この4chで『シカゴVIII』に出会えて幸せでした。なお紙ジャケの復刻が素晴らしい今回のセットですが、このアルバムにはアイロンでつけるシールまで復刻。すごいコダワリです。

Chicago IX Chicago's Greatest Hits / シカゴIX(偉大なる星条旗)

これはベスト盤なので、トラックごとにサラウンドの雰囲気も変わるようです。 『Chicago V』からの「サタデイ・イン・ザ・パーク」は、例のピアノの前奏はリアに配置。これは2chのほうがいいかなあと、ボタンで演奏中に2chにしてみました。

すると例のピアノは前奏以外は案外曲のなかに埋もれているバランスなんですね。再びサラウンドに戻すと、ピアノはリアからずっと聞えてきて、当たり前ですがサラウンドは2chとバランスが変わっているなとあらためて感じました。案外サラウンドのほうが面白いかもしれません。 トータルの音量迫力も、2chに固めた方が強いと予想したのですが、意外とサラウンドのほうがあって、素直にスピーカーが倍になった分の音量迫力でした。

Chicago X / シカゴX(カリブの旋風)

これも『シカゴVII』と同じく、満足の4chサラウンドでした。 このボックスを買う人は、そもそも4chの復刻ということで、現代のサラウンドとは違うことは承知と思います。しかしシカゴの場合、初期アルバムからあとになっていくにつれてサラウンドも充実してくることが分かります。これはオリジナルのマルチ録音の充実と比例してくるのでしょう。

まとめ

全アルバムを聴いてみて、4chのおかげでシカゴが大変面白く聴けるようになったということが大きいと思います。初期のアルバムも、未知のアルバムも毎回新鮮な気分で聴けそうです。本当にいいBOXを出してくれたと思います。


Chicago Quadio Box/ Chicago

Tower Records
Amazon

2016.7.17