ベートーヴェンの新たな魅力を感じる演奏
ヤルヴィの、前作『第3番「英雄」/第8番』につづいての、ベートーヴェン交響曲シリーズです。
この第4番/第7番でも、エネルギッシュなベートーヴェンが聴けました。
ヤルヴィ/カンマーフィルハーモニーの演奏するベートーヴェンは、音の構造が、普通のオーケストラはもとより、オリジナル楽器のオーケストラとも「ちがうなあ」と感じてしまいます。
オリジナル奏法を取り入れた小編成で見通しがよい音、それでいて頭でっかちにならないエモーショナルな演奏。
古今の名指揮者、名オーケストラの演奏するベートーヴェンも、もちろん良いです。
でもちょっと大げさですが、それらが「巨匠の芸を聴かせられてるな」と思うほど、ヤルヴィ盤の演奏は、演奏家より、楽譜から飛び出たような音楽の生々しさにまず魅かれます。全集の完成が楽しみです。
マルチチャンネルで聴く、たった1人の観客気分
毎度のことながらマルチチャンネルで聴いてみました。
録音は、ベルリンのスコアリング・ステージというレコーディングホールでのセッション・レコーディング。DSDレコーディングで録られた音は、かなり良いと思いました。
セッション・レコーディングだから、あたりまえなのだが、ライヴ盤でなんとなく感じる、たくさんのお客さんと一緒に聴いている気配みたいなものはない。
そのかわり、「あなた1人のために、ベートーヴェンを演奏しますよ」と、目の前にちょうどいい距離感でオーケストラが広がります。それを自分だけ椅子に座って聴いている感じ。
オーケストラはヴィヴラードを排した見通しのいい演奏。それだけに、今までの演奏とはちょっとちがう音の鳴り方の所もあり(これもベートーヴェンの楽譜どおり?)、つい耳を凝らして、各声部を聴いてしまいました。
2007.7.31
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