第5番はポップソングではない、芸術だゾ、の演奏
マーラーの交響曲第5番は、全体的に聴きやすい構成、第4楽章のアダージョの美しさから、マーラーの交響曲では一番の人気曲だと思います。
僕も大好きです。なんやかや言って、いちばん交響曲第5番がストレスなく聴ける。
ですので、交響曲第5番は、どうやって、どうなって、どう終わるか、ほとんど分かる。
もう、僕のなかでは、交響曲第5番は、クラシックというより、ポップソングみたいな感じですね。誰の演奏を聴いても、こちらの範疇ですんなりおさまってくれていた。
しかし、このティルソン・トーマス指揮の5番は、いやあ、久々にこちらの頭にある交響曲第5番を越える演奏でした。
「マーラーの交響曲第5番はポップソングではない、芸術だゾ」
と言っているようです。
第1楽章、第2楽章とも、ゆったりめのテンポですが、フレーズの表現がすごく深い、というのでしょうか。ビシビシ頭脳に伝わります。演奏によってこんなに変わるのか、と今さらながら感激してしまいました。
第4楽章のアダージョも、弦がすごく美しい。
オーディオで聴く分には、「オケはウィーン・フィルがすごくキレイ」などと思っていましたが、いやいや、サンフランシスコ交響楽団もすごくキレイです。SACDになると、どの交響楽団もすごく良い音で聴こえるのでしょうか。
とにかく、この演奏で、僕はティルソン・トーマスという人を見直してしまいました。第5番をコクのある演奏で聴きたい方はチョー、オススメです。
試聴はあいかわらず、サラウンドでした。ホールにいるような雄大な響き、ソロ楽器(とくに、この交響曲で活躍するトランペットとホルン!)の残響が全体に響くところが好きですね。
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2006.10.27
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