

録音2011年5月2日
ミュンヘン・ガスタイク・フィルハーモニー(ライヴ)
国内盤 NAXOS
日本国内限定リリース
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厚紙製のデジパック。
ブックレットにはズービン・メータの言葉。
Nacos JapanのSatt Okazakiのライナー「日本との絆」。
他演奏家紹介と白黒写真。
ジャケットは現地演奏会のポスターのデザインをあしらったもの。
「このアルバムの収益金は、日本赤十字社を通じ、復興支援活動等資金として、東日本大震災被災地へ寄付されます」(帯の掲載文)
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5月2日のミュンヘン、復興支援演奏会のライヴSACD
このSACDハイブリッド盤は、5月2日、ミュンヘンで催された東日本大震災支援、有料チャリティ・コンサートのライヴ録音です。
オーケストラはバイエルン国立管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、バイエルン放送交響楽団の混成オケ。指揮者は4月に東京文化会館で震災支援コンサートをしたズービン・メータです。
チケットは通常の定期公演より割高でしたが、4日で完売。演奏会の収益12万9千ユーロは、日本赤十字社を通じて被災地へ義援金として送られているそうです。
このSACDの収益金も、日本赤十字社を通じて復興支援金として被災地に寄付されるそうです。

2chステレオとマルチチャンネルの音
演奏会は、全員の黙祷から始まったそうですが、SACDではバッハの「G線上のアリア」から。
そしてベートーヴェンの『第九』。シラーによる「すべての人は同胞になる(Alle Menschen werden Bruder)」というメッセージをこめて、この曲が選ばれたそうです。
SACD2chステレオの音は、柔らかいエッジのふくよかな音。オーケストラの音像は大きめで、ステージの近くのほうという感じです(オンマイク風では全然ありません)。弦は中域から低域が充実して、コクのある音です。
マルチチャンネルは、三次元の空間になる綺麗なサラウンド。
オーケストラの音が、空間に浮かぶように前方にあらわますが、2chよりも奥行き感や、透明感が増します。木管のソロはとても綺麗(第2楽章)。
声楽のソロは、クリアで解像度のある音。後方の合唱は混ざり合った音響で現れます。
人間の声を待ち望む、第4楽章《歓喜の歌》
このSACDの演奏や録音は、普通にベートーヴェンの第九を選ぶ候補にしていいくらいの仕上がり。
しかし第4楽章だけは、ちょっと他の第九の演奏にはない気持ちになりました。
第3楽章まで聴いていると、人間の声が現れるのが、待ち遠しくなるのです。そして第4楽章、バスの声が現れると、どこか「救われる」気がしたのでした。人間の声でしか伝えられないことが、あるような気がしました。
彼らの歌う《歓喜の歌》の数々のヴァリエーションから、「不屈の精神」を感じることもあれば、「支え合う人がいる」温もりもどこか感じてしまうのです。
「G線上のアリア」ではメータの希望により、演奏後の拍手は控えられたそうですが、第九のあとでは、間をおいて拍手が起こり、やがて盛大なものになっていきます。
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 2011.7.5
他の復興支援CD(SACDではありません)
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