ブーレーズ、4チャンネル時代の名盤のSACD
「管弦楽のための協奏曲」は、ジャケットをご覧になるとわかるように、70年代、SQ4チャンネルレコードとして発売されたもの。4チャンネルレコードの代表盤として記憶しておられる方も多いと思う。
実際4チャンネルで聴いたことはないのですが、当時の評判やレコードジャケットから、ワクワクさせてくれたレコードです。
しかし、このSACDのマルチチャンネルは、4チャンネル音源ではないと思われる。往年のファンは気をつけてほしい。
マルチチャンネルに収められているのは、最近のクラシックのそれと同じく、2チャンネルの響きをさらに豊かにするような、前方中心のマルチチャンネルである。ジャケット画のように、後ろからホルンやトランペットは出てこない。
どう考えてもこれは4チャンネル音源ではないだろう。ブックレット、帯とも4チャンネルにはいっさい言及していないので、これは4チャンネルとは別物と考えるべきだろう。
それでも「収録されているマルチチャンネルも良かった」と書いておきたい。オーケストラが広がって聴きやすい。特に第2楽章「対の遊び」の冒頭は、ホール風な響きになり、いい感じだ。
ブーレーズの「オケコン」「役人」は不滅でしょう
アナログLPを知っている世代として、マルチチャンネルのことを先に書いたが、肝心の演奏は、誰にも文句のないところだろう。たとえ4チャンネルでなくても、この演奏の価値はいささかも曇らない。
自分の場合、「管弦楽のための協奏曲」(略してオケコン)の演奏の刷り込みは、このレコードだった。ブーレーズの分析的演奏が、素朴にトンがっていたこの頃の演奏がやはり好きだ。
同時収録の「中国の不思議な役人」も、ブーレーズ盤で洗礼をうけた口である。ひっきょう、この2曲は、このブーレーズ盤でないと「コクがたらねえ!」と思ってしまうほど。まあ、個人的な思い込みかもしれないが、それくらい70年代の有名レコードですね。
なお「中国の不思議な役人」は別のLPで出ていたものである。「オケコン」と「役人」が1枚に入っているのだから、おトクなSACDでもある。SACD専用ディスクです。
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 2008.3.28
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