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ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
ホルスト:組曲〈惑星〉

ディスク
Gustav Holst
The Planets Suite, op32

Herbert von Karajan
Vienna Philharmonic

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録音1961年 ウィーン、ゾフィエンザール
Blu-ray Audio
レーベル:ハピネット

STEREO
・PCM 96kHz/24bit
・PCM 192kHz/24bit

CDプレイヤー、DVDプレイヤーでは再生できません。ブルーレイディスク(BD-ROM)対応のプレイヤーで再生できます。


〈惑星〉の名盤と伝わる、カラヤンの初録音

 本作はカラヤンが始めて録音した〈惑星〉であり、レコードファンにも〈惑星〉の名盤として広く知られてきた録音です。そのBlu-ray Audioを聴いてみました。

 第1曲の「火星」から、「こりぁ、すごい」と思ってしまいました。グイグイとたたみかけてくる演奏。
〈惑星〉全体を通しても、この「火星」が一番すごいのではないでしょうか。録音から50年以上もたち、〈惑星〉にすっかり慣れっこになっている耳にも強烈でした。

 というか〈惑星〉という曲が一般にまだ認知されていなかった時代に、カラヤンが早々とこんな演奏をしてしまうと、その後の指揮者も立つ瀬がないような気がして、気の毒に思ってしまうくらいです。


ブルーレイのパッケージにブックレット。ブックレットには解説。

 カラヤンの演奏は、思いっきり「スペクタル」なんだけれども、その後のカラヤンのような、また他の指揮者でも〈惑星〉を演奏する時に、意識的にしろ無意識にしろ、出てしまいがちな「演出的なところ」がありません。ひたすらスペクタルに徹しているところが実に気持ちがいいです。なんかバロック音楽の原典主義にならって、〈惑星〉の原典主義とも言いたくなるような演奏なんです。

 聴き手は、この印象が確実に刷り込まれるので、〈惑星〉を聴きたくなると、このカラヤン盤を取り出してしまうことが多くなってしまいそうです。
 よく考えたら、これまで他の〈惑星〉の録音では、演奏面でそこまでの刷り込みはなかった気がします。〈惑星〉の場合、ジャケットだけが印象に残っていることが、まま多いですから。

優秀なデッカ録音が、くっきりとしたツブ立ちで

 Blu-ray Audioの音質ですが、さすがに名録音と言われるだけあって、2chのオーディオファンには「美味しい音」でしょう。ツブ立ちのいい音。それも各楽器が、えぐられたような立ち上がり。

 さすがに弦楽器は、70年代アナログ全盛期の、しなやかな音に比べれば固めですが、1961年録音でこの空間なら〈ハイファイ録音〉にふさわしいと思います。
 デッカの初期ステレオ録音を、自宅のオーディオでいかに鳴らし、堪能するか。そこを味わうソフトだと思います。


スクリーン画面。2種類の音源は右下で選ぶ。演奏中は黒地に演奏中のTrack1という小さな文字だけが写る。その文字もスクリーンセイバーのようにゆっくりと移動。

金管のてんこ盛りは、192kHzでいただきましょう

 Blu-ray Audioには、PCMで「192kHz」と「96kHz」の2種類を収録。ロックなら96kHzでも十分と思うことが多いので、クラシックでもそうかと思いきや、この〈惑星〉では、やっぱり192kHzのほうがよかったです。

 なにせウィーン・フィルの金管が炸裂します。特に「火星」ではオーバーブローぎみの迫力。お椀に盛ったとしたら、溢れ出そうなほど、音がてんこ盛りです。
 そういう所では、96kHzだと音のエッジが固めなのが露見されて、よくCDにいう小言「音がカタい(金属的)」を思い浮かべるのですが、192kHzですと、たとえオーバーブローでもエッジが柔らかいのを維持しているように感じました。これは192kHzでいただきましょう。

B00W36PIKG
ホルスト:組曲《惑星》

2015.12.20