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カルロ・リッツィ指揮ネーデルランド・フィルハーモニー管弦楽団
ラヴェル管弦楽作品集ラ・ヴァルス、マ・メール・ロワ、チガーヌ、ボレロ、亡き王女のためのパヴァーヌ

ディスク
Maurice Ravel
Orchestral Works

Carlo Rizzi
Netherlands Philharmonic Orchestra Amsterdam

Tower Records
Amazon


録音2012年
輸入盤、Tachet

角の丸いプラケース。
ブックレットには各曲の配置図。ライナー。

収録曲
「ラ・ヴァルス」
「マ・メール・ロア」
「チガーヌ」
「ボレロ」
「亡き王女のためのパヴァーヌ」

クラシックで“360度楽器配置”、今回はラヴェル

 クラシックで“360度楽器配置”のサラウンドを製作しているユニークなレーベルTACHTの、2013年に発売されたアルバムです。
 TACHTはこれまでバッハ、ベートーヴェンの“360度サラウンド”を製作してきましたが、今回はラヴェル。期待できそうです。
 収録曲は「ラ・ヴァルス」「マ・メール・ロア」「チガーヌ」「ボレロ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」。

 ラヴェルの管弦楽曲は色彩感があるので、これまでのバッハ、ベートーヴェン以上に“360度サラウンド”が効果的でした。
 各曲で、弦セクションは後方の半円状に置かれるのは共通ですが、管楽器、打楽器は曲によって配置が違うのが面白いです。

楽器は位置の“妙”も楽しむ「ボレロ」

 「ボレロ」では、小太鼓がやや後ろから登場します。
 そこからソロ楽器の響宴が始まります。2chの4倍の広さに配置されたソロ楽器は、重なることがないので、どこから出てくるのか楽しみです。
 ソロのあとのアンサンブル、そして全体演奏にいたるまでの、音のからみ方も、360度の広範囲とあって、用意に楽器の組み合わせが分かります。
 従来のダイナミック・レンジの変化に加えて、楽器配置の“妙”も楽しめる、これぞ“360度サラウンド”ならではの「ボレロ」でしょう。

ライナーノーツより「ボレロ」の楽器配置。右が最初のテーマを演奏する楽器群。右が2番目のテーマを演奏する楽器群。前半のソロは○の番号のあたりに現れる。
①Flute ②Clarinet ③Basson ④E♭Clarinet ⑤Oboe d'amore ⑥Trumpet + Flute ⑦Tenor Saxophone ⑧Soprano Saxophone ⑨Horn + 2Piccolo+Celesta ⑩Oboe+Oboe d'amore + Englishhorn + Clarinets ⑪Trombone

360度楽器配置は食わず嫌いだった

 そのほかの曲も “360度楽器配置”で聴くと楽しみが広がります。下に楽器配置の図を載せたので参考にしてください。
 これらのサラウンドに浸っていると、まるでプログレのような“面白み”があるのですが、クラシックとしてのオリジナル性は、2chを聴く時と何ら変わりません。
 むしろ楽器間のアンサンブルが聴き取りやすく、新しい発見のほうが多いです。ストラヴィンスキーやベルリオーズ、ワーグナーも360度楽器配置で聴いてみたくなりました。

「ラ・ヴァルス」。始まりが、どことなくプログレ風。ワルツが心地よい。
「マ・メール・ロワ」。もともとムード満点の名曲。360度取り囲まれると、場面が目に浮かぶよう。
「チガーヌ」。最初のヴァイオリンソ独奏は、前方にオンマイク気味で圧倒される。その後オーケストラが加わるとサラウンド感が出る。

Tower Records
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2013.10.4