![]() ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番&第5番〈皇帝〉 |
輸入盤 ベートーヴェン: ベートーヴェン: ブックレットには1973年録音とありますが、第3番は1971年録音ではないかと(既存2ch盤からの推測ですので、間違っていたらすみません)。 |
ドイツ・グラモフォンの4チャンネル録音をSACDで昨年発売になった、ペンタトーンの〈リマスター・クラシック〉シリーズは、ドイツ・グラモフォンの4チャンネル録音から、ペンタトーンがマルチチャンネルを製作した期待のSACDでした。 本作は、今では指揮者としての活動の方が多いクリストフ・エッシェンバッハのピアノで、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の第5番〈皇帝〉と第3番を収録しています。どちらもグラモフォンの名盤でしたが、4チャンネル録音があったとは驚きでした。オリジナルは別々のLPでしたが、SACDは1枚に収録。 ![]() このレビューは左下のSACD。ちなみに上が『ラベル:オーケストラ作品集〜クープランの墓、マ・メール・ロワほか』小澤征爾指揮ボストン交響楽団、右下がモーツァルト:ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」第14番 タマーシュ・ヴァーシャリ(ピアノ指揮) 目の前に置かれた寿司のように迫るフロント当然マルチチャンネルで聴いてみました。当時の4チャンネルですから、センター・スピーカーに音はありません。 1973年録音とあって、アナログ時代特有の重厚さ。フロントにはピアノがガッツリと立体感を持ってあらわれます。 これを寿司屋の寿司にたとえるなら、2chがカウンターの上の段に置かれた寿司だとしたら、マルチチャンネルは目の前に「ドーン」と出された寿司。手に取るように立体感のある寿司、じゃなくて音場が目の前にあらわれます。 フロントがこうですから、リアのアンビエント音さえも、現在のサラウンド録音の透明度のあるリア音と比べて「コッテリ感」が感じられます。リスニングの位置からリアスピーカに顔を向けると「お、音入っている」と自覚できるほどでした。 通俗に思っていた〈皇帝〉もハマる、エッシェンバッハのピアノとマルチチャンネルの音場この音場で、エッシェンバッハの〈皇帝〉第1楽章、例のピアノのカデンツァが、トルルルと華やかな音で登場するのですからたまりません。キラキラと輝くピアノが駆け巡ります。 実のところ、クラシック通になるほど、ベートーヴェンのピアノ協奏曲は、この〈皇帝〉が通俗に思えてきて、第3番、第4番の内省的なほうを好むようになると思うのですが(そんなことないですか?)、このエッシェンバッハの〈皇帝〉は、いいですねえ。あふれんばかりの喜びが、オーディオ音になって伝わってきます。 その一方で〈皇帝〉の第2楽章や、第3番の同じく第2楽章では、詩情あふれる演奏で、それにもエッシェンバッハは魅了します。実のところ、ドイツ・グラモフォンのサラウンドが目当てで買ったSACDですが、この〈皇帝〉と第3番はいい演奏だと思った次第です。 サラウンド良し、演奏良しが期待できる〈リマスター・クラシック〉シリーズ、今後も期待が高まります。 ![]() |
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