
輸入盤、RCA
録音、ブラームス1955年、チャイコフスキー1957年
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角の丸いプラケースにブックレット。
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ヴァイオリンの巨匠ハイフェッツの名盤
20世紀を代表するヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツの弾くブラームスとチャイコフスキーの協奏曲を収録したSACDです。どちらもハイフェッツの有名なレコードです。
ハイフェッツはすごいテクニックの持ち主です。フレージングはまるで油が十二分にさしてある機械のように、なめらかです。スムーズな超絶技法は好きになるとハマります。ハイフェッツを聴きたくなるのです。
ブラームスの協奏曲はヴァイオリンもオーケストラも「泣き」を思う存分表現できる曲ですが、ハイフェッツは(そしてライナーの指揮も)あまり「泣き」で攻めてくることはありません。
最初、物足りなく感じるのですが、しばらくすると「これで十分」と思えてきます。心のなかの物足りなく思った空間には、かわりに音楽のあらたな魅力が芽生えております。今まで「泣き」こそがヴァイオリン演奏の神髄かと思っていましたが、考えをあらためました。
もはや“廉価盤”ではない、SACDで聴くリビングステレオ
リビングステレオ・シリーズはステレオ初期の録音。これも1955年と57年の録音ですが、SACDの音は50年代の録音とは思えないほど、ふくよかで厚みがある音です。
アナログレコード全盛期の70年代には、ステレオ初期の録音は“廉価盤”としか扱われなかったので、「ステレオ初期=音が悪い」と思いこんでいましたが、ぜんぜんちがうのですね。同年代録音のワルターのSACDとくらべても、リビングステレオのほうが音がいいと思います。
思えばリビングステレオに録音している演奏家は、19世紀的な雰囲気の残る最後の演奏家たちと思います(ルービンシュタインとか)。その人たちが「ステレオ録音」で演奏を残すことに間にあった。それらの録音が良い音で聴けるSACDで出た、というのは二重にかさなった喜びですね。
リビングステレオにはマルチチャンネルが収録されており、当時のオリジナルのセンターを加えた3トラックでも聴けます(このディスクならチャイコフスキーがそう。ブラームスはオリジナルも2トラック)。
SACDステレオは、オリジナルに近づけるようにした再ミックスです。マルチチャンネルとSACDステレオの試聴上の差はそれほどあるとは思えませんでしたが、こだわって聴き比べても楽しいと思います。
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その他のハイフェッツのSACD
 2009.7.17
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