topaboutblogclassicaljazzpopsjpopselect
S
小澤征爾指揮&水戸室内管弦楽団、工藤重典(フルート)ダーグ・イェンセン(ファゴット)宮本文昭(オーボエ)
モーツァルト:フルート協奏曲、ファゴット協奏曲、R.シュトラウス:オーボエ協奏曲

ディスク
Mozart:Concerto for Flute, Concerto for Bassoon, R.Strauss:Concert for oboe

Amazon


録音1999年4月水戸芸術館ホール
国内盤、Sony Records
SACD専用ディスク

Seiji Ozawa,conductor
Shigenori Kudo,Flute
Dag Jensen,Bassoon
Fumiaki Miyamoto,Oboe
Mito Chamber Orchstra

ソニーのSACD初期の、正方形の紙表紙にプラスチッックトレイのスタイル。ブックレットには諸石幸生氏のライナー「すべてはかげがいのない作品のために」。それと各曲の解説。

DSD録音で聴く、極上の「音色」と「歌心」

 このSACDは、モーツァルトの二つの協奏曲とR.シュトラウスの協奏曲を収録したものです。フルート、ファゴット、オーボエ、世界的に活躍する名手達の「歌心」を、120%堪能できるアルバムです。
 モーツァルトのフルート協奏曲は、ギャラント・スタイルの華やかな協奏曲。工藤重典の優雅で、かつ力強いフルートの奥深さを味わえます。

 ファゴット協奏曲は、作曲年代はフルート協奏曲よりも早く、モーツァルト18歳の作。人間の声に近いといわれるファゴット。カデンツァのソロは、普段オーケストラ曲でチョコチョコと聞えるファゴットと違って、まるでオペラ歌手がアリアを歌うように、濃密な“肉声”で歌い上げます。ソロはダーグ・イェンセン。

 オーボエ協奏曲は、ドイツが降伏し戦争が終了した1945年の作曲。R.シュトラウス晩年の作品です。
 “現代音楽”とは思えない19世紀風古典的な作品。それでいて若い頃の超前衛的な血がブスブスと残り、「通俗と前衛」が不思議な印象を想起させる曲。
 曲は陽だまりの振りそそぐ縁側のように、暖かく、明るい。そこに作曲家の“老年の境地”がゆらゆらと漂います。個人的にはマーラーの交響曲第9番にどこか通じて、なんど聴いても飽きない曲です。
 小澤征爾の表現力が本当に素晴らしく、協奏曲なのに、交響曲のような精神性を感じてしまう。実に味わい深い演奏です。オーボエ独奏の宮本文昭ももちろん素晴らしい。

溶け合ったオーケストラの響きと、ソロ楽器の音色に酔う

 本作はSACD専用ディスクです。SACDステレオのみの収録。
 その柔らかい音色にビックリすると思います。残響を上手く含んだ、暖かく、ふくよかなオーケストラの響き。まるで綿のような、やわらかく音の溶けあったサウンドといいましょうか。
 3つの協奏曲はどれも、ソロ楽器が裸になるカデンツァが豊富です。そこでの、フルート、ファゴット、オーボエのソロの音色も心地よい。 オーケストラの響きとソロ楽器の音色を、極上の音で堪能できるSACDです。もちろん、独奏者の「歌心」にも酔うことでしょう。

Amazon

小澤征爾と水戸室内管弦楽団のSACD
モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」&第38番「プラハ」
SACDラボレビュー
モーツァルト:交響曲第40番/協奏交響曲
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」&ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」    
2010.9.15