

録音、2009年 石川県立音楽堂コンサートホール
24bit/88.2kHz Recording
国内盤、エイベックス
SACDハイブリッド
Amazon
普通のプラケースにブックレット。ブックレットには、片桐卓也氏のライナー、曲解説。
|
フルートの名協奏曲を、高木綾子の豊かな音色で聴く
高木綾子のフルート、金聖響指揮、オーケストラ・アンサンブル金沢の演奏による、モーツァルトのフルート協奏曲第1番と第2番、「フルートと管弦楽のためのアンダンテ」をおさめたSACDです。
第1番はもちろん名曲ですが、第2番も、あの輝けるオーボエ協奏曲が原曲とはいえ、フルートで演奏してもとても美しい曲。モーツァルトは気が進まなかったかもしれませんが、よくぞフルート用に編曲してくれた、と後世の僕たちは感謝です。
日本人演奏家、金沢録音でも“本場と同じモーツァルトの世界”
フルート協奏曲のテンポは、ゆっくりめ。
高木綾子のフルートは、重心の重い、豊かに鳴る音色です。クラシック・ファン好みの音と思います。
オーケストラも日本のオーケストラなのに、デリケートなタッチ、ちょっとしたニュアンスに、モーツァルトのエッセンスが溢れています。
そんなオーケストラに支えられ、また絡み合うように演奏される高木敦子の豊かなフルートを聴くと、日本人演奏家、金沢録音でも、“本場と同じモーツァルトの世界”を感じてしまい、「たいしたものだなあ」と思わずにはいられませんでした。
「フルートと管弦楽のためのアンダンテ」も、6分間の緊張が持続する演奏で、聴きごたえがありました。
SACDの音
マルチチャンネルは、綺麗な空間があらわれます。石川県立音楽堂コンサートホール(右)の豊かな響きを感じられるのはさすがにサラウンド。残響は透明で、圧迫感がありません。三次元的な空間再現よりも、楽器の音を綺麗に響かせる音が広がる感じです。
オーケストラが奏でる、モーツァルトでよく聴かれる“弦のきざみ”は、やわらかいです。そこにフルートが、クッキリと量感豊かに浮かび上がります。
オーディオ的にも、音楽的にも聴きどころのひとつに、高木綾子の独奏となるカデンツァがあります。第1番は金昌国、第2番とアンダンテは高木綾子の作。
空間をたっぷりと満たすフルートの音。それでいて、低音から高音まで、まるで彫刻の細部を見るように、細かいパッセージが凝視できました。一瞬の息継ぎも生なましいです。
Amazon
高木綾子のSACD
 2011.4.26
|
|