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アルカディ・ヴォロドス(ピアノ)小澤征爾指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調ほか

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Volods
Tchaikovsky : Piano concert No.1
Rachmaninoff : Solo Piano Works

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ソニー・クラシカル

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
録音2002年6月、ベルリン、フィルハーモニーでのライヴ録音

ラフマニノフ:
・10の前奏曲op.23~第10番変ト長調
・楽興の時op.16~第2番変ホ短調
・6つの歌曲~第3番「ひな菊」op.38-3
・13の前奏曲op.32~第5番ト長調
・ 東洋のスケッチ
・幻想的小品集op.3~第3番「メロディ」ホ長調
・「イタリア・ポルカ」によるコンサート・パラフレーズ(ヴォロドス編)
録音2003年4月、ベルリン、The Scoring Stage

ヴィルトゥオーソ、ヴォロドスの高音質盤

 先日、トスカニーニ指揮でホロヴィッツのピアノによる、チャイコフスキーのピアノ協奏曲のCD(1941年録音)を聴いて感銘しました。
 「このヴィルトゥオーソの録音が、高音質だったらなあ…」
 と無い物ねだりを考えましたが、どっこいSACDにも、ホロヴィッツに迫るヴィルトゥオーソの演奏が高音質であるのでした。

 それが本作。ホロヴィッツなみの天才としてデビューしたピアニスト、アルカディ・ヴォロドスです。1972年、ロシア生まれ。
 指揮は小澤征爾、そしてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、とオーケストラも文句なし。
 収録されているチャイコフスキーは、2002年のベルリン、フィルハーモニーでのライヴ。ラフマニノフのソロ・ピアノ作品はセッション録音です。

 SACDマルチは、チャイコフスキーを5.1ch、ラフマニノフは5.0chのマルチチャンネルで収録。

マルチチャンネルでは、「ナイアガラの滝」のベルリン・フィル、負けじとヴォロドスのピアノ

 5.1chマルチチャネルで聴きました。
 冒頭、大きなオーケストラの音場に驚かされます。
 ステージから15列目くらいの、わりと近め、ピアニストの指さばきが見える座席でしょうか。
 さらにベルリン・フィルで、録音もいいせいでしょうか、オーケストラの音が、「ナイアガラの滝」のように眼前にあらわれて、チャイコフスキーが書いた、冒頭の有名なメロディを奏でます。

 しかしサラウンド感がすごくあり、空間が360度綺麗につながっているので、60年代の録音のような「オンマイク感」はありません。
 この「ナイアガラの滝」は透明度があります。
 曲がすすみ、ベルリン・フィルの弦がフォルテで鳴りまくっていても、「滝」のなかで、木管群が動いているのが、目に見えるように聴き取れて、オーディオ的に楽しめました。
 もちろんピアノの音像も雄大で、オーケストラの音像に負けておりません。

舞い踊る、ヴォロドスのピアノ

 そのヴォロドスのピアノですが、ホロヴィッツなみに舞い踊るピアノです。
 「あの子は指が回り過ぎるんだねェ!」とは小澤征爾の感嘆の言葉(ライナーより)ですが、とくに第3楽章は圧倒的であります。
 演奏が終わるや、フィルハーモニーの観客の歓声が(360度サラウンドで)沸き起こるのですが、それが「ブラボー!」という感じではなく、「……ゥゥオー!」と地の底から沸き起こる感じ。
 SACDでは、すぐにフェイドアウトしてしまうのが非常に残念です。実際は会場のライトが落ちても拍手がやまなかったとか。

 あとに収録されたラフマニノフのソロ・ピアノ作品は、その余韻のなかで楽しむことになります。
 ラストの「〈イタリア・ポルカ〉によるコンサート」(ヴォロドス編)は、チャイコフスキーのライヴのあとのアンコールでも弾かれた曲ですが(録音は別)、これもヴォロドスのすさまじい指さばきを証明する演奏になっています。

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ヴォロドスのSACD
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