これぞ無人島に持って行きたいSACD
このセットは2008年現在、SACDで唯一のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集だと思います。言うまでもなく、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、このジャンルでの最高峰。それがSACDで聴ける喜びは大きいですね。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は前期、中期、後期と分けられます。
前期は先人モーツァルトやハイドン風でしょうか、でもベートーヴェンらしさは十分でております。
中期は「ラズモフスキー」や「ハープ」など、ベートーヴェンらしい堂々とした作品群。
そして後期は、ベートーヴェンが晩年に到達した深遠で孤高の世界。「クラシックファンがこの曲を知らなければ、一生の後悔」なんてセリフも大げさではないほど、他に類のない傑作です。
これらが1パック7枚のSACDに入っているのですから、何年聴いても飽きないことでしょう。もし「無人島に持って行くSACD」を選ぶとすれば、本SACDを持って行きたいですね。
弦楽器の響きに心躍り、演奏に満足する
SACDで聴く弦楽器、特にチェロやヴィオラの音は倍音などが豊かでワクワクしますよね。それらが4本絡み合う弦楽四重奏曲は、たまらないご馳走です。
しかしいくらSACDで音が良くても、肝心の演奏がつまらなければ、無人島には持って行けません。
プラジャーク四重奏団の演奏はその点でも文句なしでした。特に後期弦楽四重奏曲では、こちらの要求も高かったのですが、満足できる演奏でした。
筆者は今までCDでアルパンベルク四重奏団、イタリア四重奏団の演奏を愛聴してきました。
でもアルパンベルク四重奏団は「文句をつけようがないけど、ちょっとスーパーカーすぎる」。イタリア四重奏団は「質素なところがとてもいいけど、シブいけらいがある」と思っていました。
両者の中間が理想だったのですが、プラジャーク四重奏団はちょうどそのポジションだったのです。音質だけでなく演奏もドンピシャでした。
ステレオのみと、マルチチャンネル収録の二つにわかれる
効率よく曲が収録してあるので、普通の全集より枚数が少なめの7枚組です。以前CDでリリースされていたものもSACD化してのセットとなっています。そのためか、7枚全部がマルチチャンネル収録ではありません。SACDステレオのみのディスクもあります。内訳は以下のとおりです。
DISK1:第4番、第5番、第1番 
DISK2:第3番、第2番、第6番 
DISK3:第7番、第8番 
DISK4:第9番、第10番 
DISK5:第11番、第13番(「大フーガ」を最終楽章)、あとから書かれた第13番最終楽章 
DISK6:第12番、第14番 
DISK7;第15番、第16番 
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 2008.9.15
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