メンデルスゾーンっていいのね、と知った一枚
メンデルスゾーン(1809-47)は、たまに「無言歌」を耳にするくらいで、僕のなかでは、まったく興味のなかった作曲家でしたが、このディスクを聴いて考えをあらためました。
のびやかで雄大なメロディーがとても印象に残りました。メンデルスゾーン生誕200年も近いことだし、これからは意識してメンデルスゾーンを聴こうと思います。
さて、第1曲「チェロ・ソナタ第1番」から、鈴木秀美のチェロ(グァダニーニ)の息ずかい、音色に魅惑されてしまいます。
古楽器の特有の透明感が素晴らしい。フレスコ画のような繊細なテクスチャーがSACDで堪能できます。「チェロは倍音の宝庫」と誰かから聞いたことがありますが、確かに、この脳に染み込むやわらかさは、他の楽器ではないものでしょう。
もうひとつ、この演奏を魅力的にしているのが(また、なくてはならないのが)、伴奏のフォルテ・ピアノです。フォルテ・ピアノ独特のこの音色がなければ、いかに繊細なチェロの音も台なしになってしまうでしょう。
平井千絵の弾くフォルテピアノは1844年製。
一般にフォルテピアノというと、モーツァルト時代の「ペタペタ」した音色を思い浮かべる人も多いかと思いますが、このフォルテピアノは、だいぶ現代のピアノにちかずいた、力強さもそなえていました。
作曲家の生きた時代の楽器なので、なんとなく、曲も居心地よさそうです。チェロとフォルテピアノの音が、バランスよく溶け合っているのが感じられる。叙情的な旋律が、より伸びやかに聞えるのは、そのせいかもしれません。
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Amazon バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)
2006.11.25
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