
L.V.Beethoven
Complete Pinano Sonatas
Igor Tchetuev
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録音2011年モスクワ、5th Studio of The Russian Television and Radio Broadcasting Company
輸入盤、Caro Mitis
角の丸いプラケース。
ブックレットには英語、ロシア語、ドイツ語の解説。
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ロシアのJ.Becker製グランド・ピアノによるベートーヴェンのピアノ・ソナタ
本作はロシアの高音質レーベルCaro MitisからのSACD。イーゴリ・チェトゥーエフというピアニストのベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集の第6巻です。収録曲は第6番、第9番、第13番〈幻想曲風〉。

イーゴリ・チェトゥーエフは1980年Sevastopol生まれ。SACDのディスクにはCaro Mitisレーベルではおなじみの銅版画風の絵。
このSACDで興味深いのは、ロシア製のJ.Becker グランド・ピアノ(No.18587)を使用していることでしょう。
聴いてみると、ベーゼンドルファーは言うまでもなく、スタインウェイと比べても線が細く、明るい音色です。最初、イタリアのファジオーリのピアノかと思ったくらい。
でもベートーヴェンのピアノ・ソナタは、グルダやポリーニをCDで聴いてきたので、どうせSACDで聴くなら、この音色で聴くほうが一興と思いました。
チェトゥーエフの演奏も、なかなかベートーヴェンらしい演奏なので、違和感はありません。後期のソナタでは分かりませんが、この第6番、第9番、第13番では「ベートーヴェンの構築性」が心地よく聴ける演奏だと思います。
濃厚な間接音は、バスクリンが入っているかのような「サラウンドの湯」
このSACDはサラウンドで聴くのがおススメです。
録音はロシアの放送局のスタジオですが、まるでコンサートホールのような、濃厚な間接音(残響音)がリスナーを取り囲みます。
大げさに言えば、ピアノ音と間接音が同量で鳴り響いている。聴いていて「ピアノ音」と「間接音」の2色丼をいただく感じです。
でもこのサラウンドが実に心地良い。
「サラウンドの湯」があるとすれば、このSACDのサラウンドはバスクリンが入っている感じだなあ(笑)。
ピアノ音は中央でほとんど“モノラル状態”。
その点状の音源から、リスニング・ルームに豊かに広がるので、よくある左右に鍵盤が広がる録音に比べると、ピアノ観賞としては、生で聴く感じに近く、このほうが音楽鑑賞としては自然だと思うのです。
最初に書いたJ.Becker製グランド・ピアノの軽量な音色も、このサラウンドで丁度いい案配になっています。
この全集は2014年現在で、第6巻までリリースされていますが、完成を期待したいところです。
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そのほかのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集シリーズ
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Complete Piano Sonatas Vol.1
No.7,No.23,No.26 |
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Complete Piano Sonatas Vol.2
No.8, No.15, No.24 |
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Complete Piano Sonatas Vol3
No.1, No.2, No.3 |
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Complete Piano Sonatas Vol. 4
No.4, No.17, No.27 |
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Complete Piano Sonatas Vol. 5
No.5, No.10, No.22 |
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 2014.1.15
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