![]() シューベルト:即興曲集 D899 & D935 |
小山実稚恵
録音 2015年1月、軽井沢大賀ホール シューベルト ・4つの即興曲 D935(作品142) 普通のプラケースにブックレット。ブックレットには作品解説。 |
シューベルト、晩年の境地の8曲 小山実稚恵のシューベルト「即興曲集」のSACD。 収録されている、「4つの即興曲 D899」と「4つの即興曲 D935」は、D番号が離れているので、別々の時期と思いがちですが、ともにシューベルトが亡くなる前年の作曲。番号は離れているのは出版年によるものです。 全8曲は、その名のとおり即興的でフォルムを固めていない、どこか自らの死を予見したかのような、透明感があります。 その意味で、ベートーヴェンの晩年のピアノ・ソナタや、ブラームスの晩年の間奏曲とならぶ“ドイツ音楽の無我の境地”を堪能できる曲だと思います。 しかし、今回小山実稚恵のSACDで聴いて、ようやくシューベルトの「即興曲集」の2つを“無我の境地”と認識できることができました。ベートーヴェンやブラームスと並んで、シューベルトの「即興曲集」もこのSACDで、自分の余生、じっくり聴き込んでいきたいと思います。 余生、じっくり聴き込んでいきたいSACDの音SACDは2chのステレオです。ピアノの音像は、左右のスピーカーいっぱいに広がる感じです。ボリュームを上げると、ピアノと同じ部屋にいるかのような重厚な存在感。 しかし重厚といっても、音は単純ではありません。 それこそ消え入るようなタッチ、まろやかなタッチ(どうしてこんな演奏ができるのか)から、キビキビと強靭なリズムまで。こうした音を、あたかも眼前にあるかのごとく、肌触りまで堪能できるのが、このSACDの魅力だと思います。 シューベルト晩年の「即興曲」自体に思いをはせ。同時に、それがどういう現実音となっているか。その2つを楽しむことができるSACDと言えましょう。そういう意味で、先に「自分の余生、じっくり聴き込んでいきたいSACD」と書いたのでした。 ![]() |
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