
Federico Mompou
Musica Caliada
Yuji Takahashi
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5.0ch

国内盤 fontec
録音2007年
普通のプラケースにブックレット。
ブックレットには高橋悠治のライナー。
収録曲
第1冊(9曲)17'15"
第2冊(7曲)12'03"
第3冊(5曲)12'06"
第4冊(7曲)16'55"
第4冊はアリシア・デ・アローチャに捧げられ、1972年のカダケス国際音楽祭で初演。
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最近よく耳にする作曲家、モンポウのピアノ曲
最近、スペインの作曲家フェデリコ・モンポウ(1893-1987)の名前をよく聴きます。
最初は10年ほど前でしょうか、ピアノの演奏会で、プログラムの中にひっそりと加えられていて知りました。
そのときは演奏会に彩りを添えるマイナー曲という印象でしたが、その後、モンポウの名前をよく聞くようになります。僕にとってモンポウは、まるで70年代のサティのように、急に目の前にあらわれた作曲家でした。
本作はそのモンポウのSACD。収録されているのは「沈黙の音楽」(Música Callada)という1959年、1962年、1965年、1967年に出版された4冊のピアノ曲集です。
演奏が、現代音楽では右にでるものがいない高橋悠治というのも魅力的です。使用楽器はベーゼンドルファー。DSDレコーディングで、5.0chマルチチャンネルも収録です。
モンポウの寡黙な音楽
この「沈黙の音楽」は、先に書いたサティのような、単純で不思議な音響空間をかもしだします。
でもモンポウの音楽はサティよりも抽象的です。むしろウェーベルンの音楽に近いと思いました。それくらい寡黙な音楽です。1曲1曲が「小宇宙」とも言えるでしょうか。
とはいえ、耳を凝らせば、メロディのようなラインもあります。
どれも短い旋律ですが、モンポウの故郷であるカタルーニャ民謡の影響もみられるそうです。
広がり、漂い、消えていくピアノの音
モンポウのこの音楽(音響)ならば、やはりサラウンドで聴きたいところでしょう。僕もマルチチャンネルがあるから、このSACDを買ったわけです。
果たして、サラウンドではモンポウの音楽が、豊かに広がります。
ピアノはもちろん前方に位置しますが、弾き出された音が、リスニングルームに、広がり、漂い、消えていきます。サラウンドのほうが、モンポウの音楽と、身体で触れている気がしました。
「沈黙の音楽」は、ときには全4冊(28曲)を聴き通さなくてもいい、2冊づつ聴いていくのもアリかな、と思います。お気に入りの服のように、長い付き合いで、身につけていきたい音楽ですから。

高橋悠治/モンポウ:沈黙の音楽
 2014.1.22
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