
SCARLATTI:
THE COMPLETE KEYBOARD SONATAS
SCOTT ROSS
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輸入盤 ERATO
録音1984〜1985年
CD34枚組

ブックレットは20ページ。CDプラケースにも入るような、全集にしては味気ない薄手のもの。でも価格が価格だから許せる。スコット・ロスのインタビューを収録。

セカンド・システムのコンポでもよく聴く。これも楽しいんだなあ。買ってよかった。
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クラシック・ファン垂涎だった、
スコット・ロスの世界初録音全集が、低価格で発売
スコット・ロスは1989年に38歳の若さで夭折したチェンバロ奏者です。本作は、そんな彼が1980年代に完成させた、スカルラッティの555曲のソナタ全集史上初録音。
これは当時から偉業と讃えられていた全集でしたが、CD34枚組ゆえ大変高価でした。あの頃、レコード店のCD棚の上にデンと置かれたセットを見て、ため息をついたクラシック・ファンは数しれないことでしょう(笑)。
そのスコット・ロスのスカルラッティ全集が、2014年6月現在、1万円をゆうに切る価格で買えるようになったのです。
この偉業を前にしては「CDだからパス」という、いつものコダワリは消え去ります。さっそく購入してみました。

CDが紙に入っているので、80年代に出た全集よりはグッとコンパクト。あの時にも憧れた、緑のERAETのマークがまぶしい(笑)。
聴きやすくノリやすい。555曲は“捨て曲なし”の充実感
ドメニコ・スカルラッティはバッハやヘンデルと同時代の作曲家。しかし曲風はバッハとはかなり違います。
まず1曲が単一楽章であること。
単一楽章のせいで「始まった曲が終了したらひと区切り」という聴きやすさ。複数楽章のバッハよりストレスがかかりません。
それから、詳しく分析すればもっと複雑でしょうが、簡単にはバッハのポリフォニー(旋律がいくつもからむ)に対して、ホモフォニーともいえる、ひとつのメロディー(と伴奏)で構成されていること。
旋律がひとつなので、メロディに「清涼感」があります。
加えてスカルラッティのメロディ・メイカーとして才能は、バッハ以上ではないでしょうか。どの曲も心に残るメロディを宿しているから驚き。1曲1曲に、バッハとはちがった「宇宙的な広がり」を感じます。
ということでスカルラッティのソナタ555曲は、まるで「ポップスのシングル・ヒットを555曲集めたかのような」、“捨て曲なし”の充実感があるんです。
CD34枚を聴き通すことが、ぜんぜん苦ではありません。どれだけ聴いても飽きませんねえ。
キラキラとしたチェンバロ音。
小型スピーカーでもよし、トールボーイでもよし
録音は、空間(部屋)の響きをとらえたものというより、オン・マイクぎみのチェンバロに接近した音です。
ですので、小型スピーカーで聴くと、小気味よい鳴りっぷりです。逆にトールボーイのB&W804で聴くと、重厚な大きな音像になります。
CDなので、一般的に音質はSACDより固いかもしれませんが、チェンバロの音なので、ぜんぜん気になりません。キラキラと輝くチャンバロ音に魅せられます(3曲ではオルガンで演奏)。
最後になりましたが、スコット・ロスの演奏は軽快でリズミックなもの。仕事中をしながら聴き流していても、ソファーにすわってジックリ聴いていても、どちらも快適な時間が過ごせます。これは一生付き合える全集になりました。

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▶ Tower Records
 2015.6.17
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