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ジョン・バット指揮、ダンディン・コンソート&プレーヤーズ 
ヘンデル:オラトリオ《メサイア》(ダブリン初演版)

JOHN BUTT director
DUNEDIN CONSORT & PLAYERS
HANDEL: MESSIAH
DUBLIN VERSION, 1742
Hybrid Stereo/Multi-ch
録音2006年
輸入盤、2枚組、LINN

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三枚開きのデジパック使用。左右にSACDが、真ん中にブックレットが収納されるレイアウト。2枚でトータル140分5秒です。

ブックレットには英文ライナーノートに、オリジナルの英語歌詞がつく

ジャケットがこんな絵だから、重苦しいイメージを持つかもしれないが、《メサイア》は、清涼飲料のように、爽やかで親しみやすい曲です。
ヘンデルがこの曲を初演したのは1742年。時代と場所をこえて、現代の日本人の心に染み入るのですから、西洋音楽の普遍性には脱帽してしまいますね。

個性的な独唱者、素晴らしい合唱と録音で聴く《メサイア》

 これはヘンデルのオラトリオ《メサイア》の、1742年のダブリン初演版を録音したものです。ダブリン初演版は世界初録音。さっそく聴いてみました。

 ダブリン初演版が通常版と、どうちがうか? 英語のライナーノーツに書いてあるのですが、読み口説く力がないので、ここで紹介できないのは残念です。それよりも演奏と録音が良かったので、レビューに取り上げた次第です。

 古楽のオーケストラは、言うまでもなく透明感があって爽やかです。
 面白いのは独唱者で、聴き慣れたアリアが、他の演奏の《メサイア》にくらべて妙に心にひっかかる。「なんだろう、この存在感は?」と、目の前に現れる声に考えてしまいました。
 ソプラノのスーザン・ハミルトンは、「あれ、ボーイ・ソプラノか?」と思う声の質。それゆえ妖艶でありながら、どこか不安定な歌いまわし。これがなぜか魅力的なんです。
 コントラルトのアニー・ギルは、文字どおり「存在感のある」歌声で、音楽的にもオーディオ的にも大満足。
 テノールは、歌い回しが単調で弱い気がする。が、それを面白がって聴いてしまう自分がいる(どうしてだろう)。
 バスは、バスなのに声が沈んでいなくて、輝かしいところが大好きだ。
 というように、決して優等生ではないが個性的な4人の独唱者が、他の録音では味わえない《メサイア》を聴かせてくれるのですね。

 一方、合唱は、優等生というか、完ぺきで素晴らしいと思いました。
 多すぎも少なすぎもしない適度な人数は、4声の重なりがすごく綺麗に聞こえます。《メサイア》は合唱に良い曲が多いので、こたえられません。
 オーケストラ、独唱陣、合唱陣がこんなですから、聴き慣れた大家の《メサイア》演奏より、「身近で、作り物臭くない」演奏に思いました。録音の良さもあり、オススメSACDだと思います。

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2008.3.5