
Richard Wagner
DAS RHEINGOLD
Marek Janowski
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
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録音2012年11月22日、ベルリン、フィルハーモニーでのライヴ
輸入盤 Pentatone
SACDハイブリッド2枚組

ブックレットにはドイツ語歌詞と英語対訳。英独仏のライナー。
写真右下の紙は、ワーグナー・シリーズのチラシ。
おもな歌手
トマシュ・コニェチュニ(バス・バリトン/ヴォータン)
クリスティアン・エルスナー(テノール/ローゲ)
イリス・フェルミリオン(メゾ・ソプラノ/フリッカ)
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高音質Pentatoneのワーグナーシリーズ、全10タイトルの第7弾
 ハード・カバー製ブック型パッケージ
本作は高音質レーベルPentatoneが2011年からはじめたワーグナー・シリーズの第7弾。いよいよ『ニーベルングの指環』の序夜〈ラインの黄金〉の登場です。
シリーズ共通の、演奏会形式によるライヴ録音。DSDレコーディングでマルチチャンネル(5.0ch)も収録しています。
「『指環』を高音質、それもサラウンドで」という夢がかなうSACDです。
ベルリン放送交響楽団、ベルリン・フィルでなくても重厚な再生音
指揮はマレク・ヤノフスキ(1939年ワルシャワ生まれ)、オーケストラはベルリン放送交響楽団。
序奏はコントラバス弱音、やがてホルンも加わります。
この部分から、深みのある音質が、いいなと思いました。
近年PCMのハイレゾ音源が流行っていますが、空間のクリアさは同等でも、「やっぱりDSDのほうが、楽器音にアナログ感がある」と実感します。
聴くまえは、「ベルリン・フィルが本拠地としているフィルハーモニーでライブ録音なら、オケもベルリン・フィルにすれば良かったのに…」という不満が実はあったのですが、第1場の「ラインの川底」で乙女たちが歌い始めるころには、まったく消え去りました。
ベルリン放送交響楽団もコッテリとしていて重厚な音なのでした。
ホールトーンを意識させず、広がりのあるマルチ
マルチチャンネルは、どちらかというとホール・トーンを意識させないサラウンドです。
前方のオーケストラ音が綺麗に広がっていく感じ。
これが会場であるフィルハーモニーの響きかは、なんとも判断できませんが(実際に行ったこともあるのですが)、聴きやすい音&サラウンドであることは間違いありません。
ひょっとして第3場「ニーベルハイムの地底」の場面では、「鉄琴が、全方向サラウンドで響くかも」と予測しましたが、それもハズレて、前面からグヮーとひろがる感じ。ホールでのリスニングを再現するサラウンドに徹しているようです。
それでもリスニング・ルームに無数の鉄琴が鳴り響き、サラウンドならではの音響です。
いっぽう、声楽陣はオケとは対照的に、クッキリと瑞々しくあらわれます。歌手の顔が目の前に浮かぶよう。
好演奏に加え、高音質がサポートするワーグナーに満足
音質のことばかり書きましたが、肝心の音楽も、十分満足するものでした。フルトヴェングラーなどを聴き込んできた自分にも、この演奏や歌手陣はいけると思いました。
ただ、音楽の本質は音ではないと言いつつも、「高音質でしか伝わらないワーグナー」というものがあってもいいと思います。このSACDを聴くと、高音質がサポートする〈ラインの黄金〉に満足感を覚えたのでした。
Pentatoneのワーグナー・シリーズは全10オペラで、残りの『指環』の3タイトルは、2013年内に発売される予定とのことです。この音で聴く〈ワルキューレ〉や〈神々の黄昏〉が楽しみです。
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ヤノフスキのワーグナー・シリーズSACD
 2013.6.3
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