
The Great Jazz Trio
Autmn Leaves
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▶Tower Records

録音2002年5月NYアヴァター・スタジオ
国内盤、Eighty=Eight's ヴィレッジ・レコーズ
SACDハイブリッド
Eighty=Eight'sレーベルでおなじみの、光沢のある綺麗な紙ジャケット。見開きにはアヴァター・スタジオでの3人の録音風景の写真。
ブックレットには児山紀芳氏のライナー。
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ハンク・ジョーンズ、エルヴィン・ジョーンズの貴重な顔合わせ
本作は高音質で有名なEighty-Eight'sレーベルの1枚。ハンク・ジョーンズひきいるザ・グレイト・ジャズ・トリオのSACDです。
メンバーを見て心躍ります。ピアノはハンク・ジョーンズ、ベースはリチャード・デイヴィス、そしてドラムスにハンクの弟エルヴィン・ジョーンズ。エルヴィンはもちろんコルトレーンとの演奏で有名なドラマーです。
この歴史的メンバーの演奏が、2002年のDSDレコーディングで聴けるのですから、素晴らしいことだと思います。
プロデューサーの伊藤八十八氏も、『SACDジャーナル』の記事のなかで、〈自ら選ぶEighty-Eight'sレーベルの3枚〉の1枚に本作をあげていました。
頭をカラにしていても高音質がひろがるから、聴いていてラク
最高の音質にこだわった、これだけのソフトは、聴いていて本当にラクです。
いつもはSACDでも、「高音質を聴きわけてやろう」と多少なりとも身構えるのですが、このディスクでは、その必要がありません。頭の中をカラにしても、高音質のほうが広がってきてくれるのです。
大変に柔らかい音。それでいて繊細。倍音はたっぷりと含まれ、音のまわりの空間が、気配として感じられます。これぞSACDという、文句なしの音。
ハンクのピアノはもちろんですが、特にエルヴィン・ジョーンズの、各曲にあるドラムソロが、SACDではとても豊かな音に聴こえ、聴き所であります(シンバルの微粒子、強打の立ち上がり、各太鼓のまわりの空気感など)。
ハンクとエルヴィンの、ぶつかり合いが緊張感を生む
ハンク・ジョーンズとエルヴィン・ジョーンズでは、なんと音楽のスタイルがちがうことでしょう。
ライナーノートには、録音直前、ハンクが一緒にやることをためらったように書いてありますが、前述の伊藤八十八氏のコメントでは、「弟のエルヴィンを長い間、時間をかけて説得した」とありました(それが、氏がこれを1枚に上げた理由)。
いずれにしても、“予期せぬ出会いが生む緊張とスリル“がグレイト・ジャズ・トリオの真骨頂です。
ハンク・ジョーンズのエレガントなピアノも、エルヴィンの豪放なドラムスの刺激を受けて、いつにない緊張感を持っていると思います。
もちろん、エルヴィンは「サマータイム」や「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」では、驚くほど繊細なブラシワークも聴かせてくれます。
ベースのリチャード・デイヴスも「バイ・バイ・ブラックバード」でのピッチカートソロ、弦のソロとバッチリ。
本ディスクは、「枯葉」「A列車で行こう(エルヴィンのドラムソロ!)」「キャラヴァン」など有名曲がたくさん。
しかしどれも緊張感がある。ザ・グレート・ジャズ・トリオの“緊張とスリル”をお楽しみください。

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▶Tower Records
 2011.2.12
ザ・グレイト・ジャズ・トリオのSACD
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