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SACDhybrid ハービー・ハンコック
フューチャー・ショック


HARBIE HANCOCK
FUTURE SHOCK

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Hybrid Stereo/Multi-ch
録音1983年 ニューヨーク
国内盤、ソニーミュージック
2007年DSDマスタリング

パッケージ
普通のプラケースに二つ折りのジャケット。
解説として8つ折のペラ紙が挿入。
解説にはボブ・ヘルデンとビル・ラズウェルの対談(1999年)、クリヤ・マコト氏のライナー(1998年)。

ボーナス・トラック
CD層のみ「ロック・イット」メガ・ミックスを収録

メンバー
ハービー・ハンコック(Key)
ビル・ラズウェル(b)
D.ST(turntable)
ビート・コージー(g)
ほか

ヒップ・ホップを取り入れたセンセーショナル作品のSACD化

 本作は1983年発表。当時、音楽界に衝撃を与えた作品でした。
 スクラッチなどのヒップ・ホップ・サウンド、クラブ&ダンス・サンンド、フェアライトCMIといったシンセなど、今でこそ若いリスナーには、当たり前の音楽ですが、当時は「それまで聴いたことがない音」でして、音楽ファンは度肝を抜かれたのでした。
 本作からは「ロックイット」が大ヒット。1983年のグラミー賞を受賞しました。
 その衝撃的作品『フューチャー・ショック』が、SACDハイブリッドでリリースされています。

SACDの音

 デジタル系の音が支配する本作に「SACDの効果があるのか?」と思いましたが、結構、くるものがありました。

 首根っこをつかまれるような、重厚なドラム音、
 たとえデジタル系といえども、きれいに浮かび上がる無数の音、
 アコースティックなパーカッション類など、
 これらの音に対して、「音があたたかい」とはさすがに言いませんが、「輪郭がやわらかい」「肉厚がある」という表現は言えると思います。 
 正直、「音に空気感あり」と言い切りたい箇所もありましたが、ううむ、それは飲み込みましょう(笑)。

 とにかくSACDでは、この過激なサウンドに潜む、“ピュア・オーディオ”を発見できる瞬間があると思います。大型システム、高級システムで鳴らしたら、よさそうな予感もします。
 SACD2ch収録です。マルチチャンネルなら、さらに素晴らしくできたのにと残念です。

トンがっていながらも、やっぱりハンコックの音楽

 さて、音楽の方ですが、あまりに斬新で、当時は腰が引けていた僕も、今は普通に『フューチャー・ショック』を聴けます。

 あの頃は、80年代風のドラム・ビートにあわせて、目新しい仕掛けに満たされている音楽に思いましたが、今聴くと、マイルス時代や、ヘッド・ハンターズ時代でおなじみの「ハービー・ハンコック節」をたくさん感じ取れるわけです。

 5曲目「オートドライヴ」は、唯一、アコースティック・ピアノのインプロヴィゼーションが重なり、ジャズ・ピアニストのハンコックに出会えてホッとするわけですが、PCMシンセ、フェアライトCMIでさえ、ジャズ・ピアノのプレイをしているのが、今聴くとよくわかります。
 発売から30年あまり経ったから言えるのですが、やっぱりハンコックは、「ノリのいい音楽を、分かりやすく作る人」だったと気づくのでした。トータル37分(SACD層)というのも聴きやすいです。

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ハービー・ハンコック/V.S.O.PのハイブリッドSACD
2007年最新DSDマスタリング/通常プラケース(2枚組も1枚ものプラケース)
ヘッド・ハンターズ
ハービー・ハンコックの代表作。ジャズ、フュージョン、ロックと関係なく、メチャノリの演奏にシビレルことでしょう。ハイブリッド盤での再発にあわせて、マルチチャンネルも新たに収録。
SACDラボレビュー
洪水 ライヴ・イン・ジャパン'75
『ヘッド・ハンターズ』をリリースしての75年来日ライヴ。アコースティックから始まる「処女航海」から、ファンク色抜群の曲にコンサートは進む。スタジオ録音以上のノリです。SACD化されない『突撃』の名曲「バタフライ」も収録。
ニューボートの追想(V.S.O.P)2枚組
76年ニューポート・ジャズ・フェスティバルにおいて、ハービーの「60年代」「70年代初頭セクステット」「エレクトリック・ファンク期」を、おのおのバンドで演奏するという企画を収録したライヴ。
SACDラボレビュー
ライヴ・イン・USA/V.S.O.P.ザ・クインテット
『ニューポートの追想』で1回だけのつもりだったV.S.O.P.だが、大人気のためツアーをした77年の全米ライヴ。このクインテット、マイルスを引いた「引き算」クインテットと思ったら大間違い、才能溢れる5人の「たし算」クインテットです。
テンペスト・イン・ザ・コロシアム/V.S.O.P.ザ・クインテット
V.S.O.P.ザ・クインテットの77年、東京田園コロシアム「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」での演奏。V.S.O.P.のライヴ盤はどれも甲乙つけがたい。他のライヴ盤でも言えるのだけど、ハービーのプレイは本当にユニークで刺激的。
ライヴ・アンダー・ザ・スカイ伝説/V.S.O.P.ザ・クインテット2枚組
79年の東京田園コロシアム、豪雨の中での伝説のライヴ。ライブ盤はどれもハービーのMCに味があるが、ここでは雨を気にして観客にジョークを飛ばしたり、機材濡れによる長い中断をMCでもたせたりと、スゴイ演奏の間に、張りきってMCしています。
ファイヴ・スターズ/V.S.O.P.ザ・クインテット
79年来日公演『ライヴ・アンダー・ザ・スカイ伝説』演奏の3日後に、東京のソニーのスタジオでレコーディングされたV.S.O.P.唯一のスタジオアルバム。聴いてみるとスタジオもライヴとかわらない。どっちも凄い。
2012.10.21