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デビッド・ヘイゼルタインのピアノ・トリオの演奏は、ビル・エヴァンス・トリオのムード、延長線にあるものと言ってさしつかえないだろう。しかしオーソドックスながら、博物館入りしたピアノ・トリオの芸ではないことだけは確か。うまくいえませんが。ヘイゼルタインのピアニズムは、ビル・エヴァンスの亜流に終わっていない何かがあると思う。前向きにひっかかるものがありますね。ドラムとベースも、同じく心にひっかかる演奏。両者ともこまかいプレイを追っていくと楽しい。 |
高音質を生み出すのは作り手の思想?チェスキー・レコーズのSACD高音質で有名なチェスキー・レコーズ(Chesky Records)からのSACD。デビッド・ヘイゼルタインのピアノ・トリオの演奏です。 このSACDを聴くと、「高音質を生み出すのは、腕やカネより、まず作り手の思想だな」と思い知らされます。
「なんだ、シンプルにしたってことね」 ワンポイント・マイクのせいでしょう、各楽器の音というより、それぞれの楽器が溶け込んでいる音が聴けます。たとえばピアノの低音とシンバルの音が溶けこんでいるような気がする。音楽として当然あってしかるべき、各楽器のブレンド感が心地良いのです。 チェスキー・レコーズのやり方は、そんなにむずかしいことではないと思うのですが〈神経はつかうかもしれないが)、どうして他社がこういう録り方をしないのか不思議なくらい。 SACDステレオでこれだから、マルチチャンネルは蛇足だろう、と予想したのですが、マルチで聴いてみるとさらに「水を得た魚」ならぬ「水を得た音」状態でした。 CHESKYのSACD
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