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キング・クリムゾン レッド(デビュー40周年記念ディスク DVD+CD)


King Crimson
RED
DVD+CD
輸入盤と国内盤

Amazon
Amazon(国内盤、紙ジャケット仕様)

DVD(オーディオ)
・MLPロスレス5.1サラウンド48kHZ/24bit
・MLPロスレス2.0ステレオ 96kHz/24bit
・DTS5.1デジタルサラウンド 48kHz/24bit
・LPCM 2.0ステレオ 48kHz/24bit

DVD(ビデオ)
「太陽と戦慄パート2」「ナイト・ウォッチ」「スターレス」他、全4曲。ヴァイオリンのデヴィッド・クロスも参加しているクリムゾンです。音はモノラル。

ボーナストラック
CD、DVDのステレオとサラウンドの3パターンで微妙に違います。「レッド」をオリジナルの3人で演奏したトリオバージョンは CD、DVDステレオ(ロスレス&PCM)には含まれるが、サラウンドには未収録。『The Great Deceiver』からの収録はCDにはなく、DVDステレオ&サラウンドには収録といった具合。さらに細かく収録がちがうので、それぞれのフォーマット聴きましょう。

パッケージ
2枚折のデジパックにCDとDVDを収納。それを紙ケースに入れてある。ブックレットには2009年のロバート・フリップの簡単なQ&A風ノート。Sid Smithのライナー。メンバーの写真少々。

デビュー40周年記念、DVDオーディオのクリムゾン

 今回、デビュー40周年ということで、『クリムゾン・キングの宮殿』『リザード』『レッド』の3作がDVD+CDの形でリリースされました。DVDはDVDオーディオで、ユニバーサルプレーヤーをお持ちなら、高音質&サラウンドが楽しめます。もちろんロバート・フリップによる監修で制作されております。

 『レッド』はキング・クリムゾンが1974年に発表したアルバム。この作品を最後に、第1期キング・クリムゾンの活動は終わります。
 キング・クリムゾンは『クリムゾン・キングの宮殿』があまりにも有名ですが、『レッド』も素晴らしい作品です。プログレの要素を残しながらも新しい音楽に突入しています。
 冒頭の「レッド」はディストーションの効いたフリップのギター、ドラムのワイルドなビート。のちのパンクやグランジを先取りする荒々しさです。
 ここには“文学的なプログレ”の要素はありませんが、それでもワイルドさの中にブログレらしい“気品”があって、多くのクリムゾン・ファンを虜にしています。
 もちろん“文学的なプログレ”も消えていません。終曲の「スターレス」の抒情は『クリムゾン・キングの宮殿』のそれです。かつてのメンバー、デビッド・クロスのヴァイオリン、イアン・マクドナルドのサックス、そのほか木管なども加わって「宮殿」の世界を、筋肉質でタイトに再創造しております。
 さらにフリージャズのインプロビゼーションも違和感なく導入されて、『レッド』は他のプログレバンドの作品とちがう、大人で知的な作品になっています。

エンタテイメントに陥らないクリムゾンらしいサラウンド

 この「40周年記念エディション」はCDとDVDの2枚組です。ここではDVD(DVDオーディオ)で聴いた音をご報告します。
 まずはMLPロスレス5.1サラウンド。圧縮なしの48kHz/24bitのPCMです。
 SACDラボで聴いたところでは、サブ・ウーファーから音はでておらず、5本のスピーカーによるサラウンドであると思われます。
 基本的にトリオの演奏ながら、2chステレオでは3名が、一杯一杯の窮屈さを感じる『レッド』ですが、サラウンドではゆったりと場所をもらって鳴り響きます。空間を広げるだけでなく、楽器の配置によるサラウンドも多様しています。リアに音をまわすこともけっこう多い。
 導入が現代音楽風な「プロヴィデンス」では、ヴァイオリンは右サイド、まるで自分のま横でデヴィッド・クロスが弾いているかのよう。このまましばらく、音楽は右サイドで鳴り続けるのみ。
 フリップのギターが入るところからようやく左サイドに音が埋まる。あとは前にベース、ドラム。左右がギターとヴァイオリンという、まさにリスニングルームが“音楽の鳴る部屋”になってくれます。
 「スターレス」後半ではドラムとベースを残して、なんと御大フリップのギターソロを惜しげもなくリアに配置。メロディーのサックスまでリア。
 でも、ここまでやってもエンターテイメントのサラウンドに陥っていないのがクリムゾンらしいところです。シブいと感じてしまう。『レッド』の音楽は強いです。

実のある音を聴かせるロスレス2ch

 次ぎはMLPロスレスオーディオ2chステレオで聴いてみました。これもユニバーサルプレーヤーでのみ再生できます。
 2chステレオはサラウンドの広がりと透明感がない分、強靭な音のかたまりとなります。『レッド』の場合、これもすごくいいです。
 スペックは96kHz/24bitという、オーディオファイルならワクワクしそうな数字。CDと聴き比べてみると、その差は音の厚みにあわられているようです。
 CDでも高音はのびやかできれい、中低音も豊かでかつ迫力があります。
 これはこれで十分なのですが、DVDのロスレスオーディオに戻ると、やっぱり音の肉付きが一皮厚いと感じます。音に“濁り”というか“実”がある。ガッツのあるサウンドで強靭さが引き立つ。オーディオ装置が良ければ良いほど、その差を描き分けてくれると思います。

 以上のロスレスサラウンドとロスレス2chステレオはDVDオーディオ企画。再生するにはユニバーサルプレーヤーが必要ですのでご注意ください。
 通常のDVDプレーヤーではDTSサラウンドとLPCMステレオが聴けます。5.1chの環境があるなら、こちらでも楽しみは十分味わえるのでぜひ一度聴いてみてください。

Amazon Amazon(国内盤、紙ジャケット仕様)

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2009.10.27