朝比奈隆/大阪フィルのベートーヴェンがSACD化
朝比奈隆が大阪フィルを降ったベートーヴェンが、SACDハイブリッド化されたので、さっそく『交響曲第1番&第4番』を聴いてみました。
一般にベートーヴェンの交響曲第1番と第2番は、「まだ、才能全開じゃないな」というイメージがあるかもしれません。もちろんそんなことはなく、交響曲第1番、第2番は、すごくベートーヴェンらしい曲だと思います。自分もこの2曲は大好きです。
それでもまあ「英雄」以前はまだ発展途上、という印象もわからないわけではない。なので第1番、第2番は「ハイドンやモーツァルトの影響下」ととらえた演奏が多い。若きベートーヴェンは小編成で爽やかに、という感じでしょうか。
今どき貴重な、堂々としたベートーヴェン
で、この朝比奈隆の交響曲第1番ですが、第1楽章の前奏から、重厚/ゆったり/広大モードで演奏してきます。ベートーヴェンの若き交響曲という遠慮はなし。まるで交響曲第9番の尺度で演奏しているよう。
これがグイグイ迫ってくるのです。ちょっと他の指揮者では味わえない濃いベートーヴェンが聴ける。「ベートーヴェンの神髄ってこうなのかな」と、思ってしまうほど。
交響曲第4番もそう。指揮者のつける、ぶ厚いニュアンスが、いろいろな部分で生きている。濃いなあ、というか他の指揮者が薄すぎるのだろうか。
「聴き慣れたベートーヴェンが違って聴こえる」というのは古楽器オーケストラを評する常套句ですが、朝比奈隆の演奏は、それとは正反対の方向に「違って聴こえる」わけですね。
今どき、こういうベートーヴェンは貴重で、SACDで聴けるのはうれしいことだと思いました。
マルチチャンネルは、ホールトーンというより、オーケストラの奥行き感やリアル感を出すようなマルチチャンネルでした。オーケストラの音が伸びやかにリスニングルームに広がってキモチいい。
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 2008.3.19
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