

録音2000年
国内盤
、ソニーミュージック
Amazon(国内盤)
普通のプラケースにブックレット。ブックレットにはポール・マイヤーズの解説日本語訳。
収録曲
ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K.364(320d)
ヴァイオリンとピアノのための協奏曲K.Anh.56(315f)
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モーツァルトのなかでもチャーミングで有名な曲
モーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K.364」は、ピアノ協奏曲をのぞけば、モーツァルトの作品の中で、とりわけ愛好されている名曲です。シンフォニア・コンチェルタンテ(協奏交響曲)というタイトルが示すとおり、協奏曲風でありながら、交響曲のような雄大な性格を持っています。
オーケストラの長い序奏のあと、弱音から伸びてくるヴァイオリンとヴィオラの導入部がとてもチャーミング。これだけで、この曲の虜になるでしょう。
あとはヴァイオリンとヴィオラの自由な対話。第2楽章のモーツァルトらしい哀しみの旋律。第3楽章の喜びと明るさ。いつ聴いても素晴らしい曲ですね。
この録音では、独奏ヴィオラにモーツァルト指示の“スコルダトゥーラ”という調弦方法がとられていることも魅力です。伸びのある倍音を含んだヴィオラがヴァイオリンと溶け込んでいます。
ステージ風マルチチャンネル
マルチチャンネルはステージ風の空間が広がります。どちらかというとホール全体の空間ではなく、ステージを意識する感じですね。リスニングポイントはステージから近すぎもせず遠すぎもしない丁度いい位置です。
冒頭のオーケストラが鳴ったところで、滑らかで広がりのある空間にびっくりすることでしょう。 このような間接音を含んだ空間はサラウンドならでは。2chではこうは鳴らないと思います。
左手にヴァイオリン、右手にヴィオラ、二人のソリストの後方にオーケストラが位置します。モーツァルトの協奏曲を聴くときのちょっとした喜びに“木管楽器のオブリガード”がありますが、それもオーケストラの奥まったところから聞こえて、臨場感が感じられます。DSDレコーディングの高音質でさらに柔らかい音色になっています。
断片からの制作にしてはすばらしい「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲」
このSACDには、もう1曲「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 K.Anh56」が収録されています。原曲はモーツァルトが120小節しか残していない未完成の断片ですが、これをウィルビーという人が完成させました。
初めて聴きましたが、すごくうまく完成されていると思いました。まるでモーツァルト自身が完成させたような感じがします。モーツアルトのピアノ協奏曲と比べて遜色がありません。
音楽学者アインシュタインに「未完のトルソ」と惜しまれていた傑作だけに、ウィルビーの完成版は大変貴重だと思います。ピアノは指揮のエッシェンバッハが弾いています。これはSACD専用ディスクです。
五嶋みどりのSACD
 2009.4.14
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