カトリックの教会音楽だが、日本人にもぐっとくる
モンテヴェルディ(1567-1643)の宗教曲〈聖母マリアの夕べの祈り〉がSACDで出たのでさっそく聴いてみました。
この曲が出版されたのは1610年。
カトリック教会で毎日おこなわれる定時の日課のひとつ、「夕べの祈り(晩課)」のために作曲されました。
それまで世俗音楽しか作曲したことがなかったモンテヴェルディが、なぜ、初めて、それも大規模な宗教曲を書いたのかは諸説ありますが、それが功を奏したのか、モンテヴェルディは、3年後にはサン・マルコ寺院の学長につくことになります。
これはバッハ以前の音楽である。初期バロックだろうか。
まず、清涼な合唱とソロに心が打たれます。
大げさにいうと、バッハの宗教曲でさえ現代音楽に思えてしまうくらい、このモンテヴェルディの音楽は、透明で純粋ですね。いくたのクラシックのなかでも宝石のような存在かな。
でも、綺麗なだけなら退屈なだけかもしれませんが、なにより音楽として、すごく「ぐっとくる」ものがある。
声楽パートから、器楽パートまで、現代の音楽好きの日本人にも、聴いていて喜びの音楽であります。モンテヴェルディの才能は、時も、場所も、宗教も越えて伝わってきますね。
教会の響きのたっぷりと入った録音は、サラウンドでありがとう
録音はロンドンのSt.judeという教会。教会の響きのたっぷりと入ったものです。
部屋全体を満たす残響音が心地いい。余韻では、かなり長めの残響音がのこります。
演奏は、合唱のキレイさももちろんだが、器楽、とくにコルネットの甘い音も素晴らしいです。
これらをマルチチャンネルのサラウンドで聴くとたまりません。サラウンド環境にした幸せを、このSACDでたっぷりと味あわせてもらいました。ごっつぉーです。
ダイナミックレンジは、それほど極端ではないので、ヴォリュームを気にしないで聴けるのもいいですね。
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ロバート・キングのSACD
2006.7.17
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