夜空のようなマルチチャンネルに、中年男はひたる
本作はムーディー・ブルースの2作目であるが、実質的に「プログレバンドとしてのファースト」といってさしつかえないでしょう。ロンドン・フェスティバル・オーケストラとの共演で、1967年、当時最先端の〈ロックとクラシックの融合〉をテーマに制作された。
音楽は、一日の始まりから、夜までを描くコンセプト。ムーディー・ブルースのバンド演奏と、オーケストラ演奏が交互に配置されトータルな作品になっています。
最近このアルバムが、なぜか聴きたくなってしまいます。アナログレコードで聴いている時は、それほどではありませんでした。
しかし、マルチチャンネルで聴く『デイズ・オブ・フューチャー・パスト』は、2CHのそれとは別世界で、中年男がむしょうにひたりたくなるのです。
マルチチャンネルは、70年代に制作された4チャンネル音源をマニピュレートしたもので、180度、きれいに球状にできあがる気がします。音のプラネタリウムと思ってみてください。 オーケストラは、クラシックというよりミュージカル調のライトなものですが、サラウンド空間ではそれも安っぽくならない。先に書いた音のプラネタリウムを見事に演出してくれます。
最後は名曲「サテンの夜」。夜空のようなマルチチャンネルに包まれます。ドラマ性、音の広がりが、疲れた中年男を癒してくれるわけですね。 本作はデラックスエディション。1枚目がSACD。2枚目はCDで、別テイクや、1967年モノシングル、BBCラジオセッションら19曲が収録されている。これらを聴くと、プログレというより60年代ポップバンドとしてのムーディー・ブルースが感じられて面白い。
 2008.12.31
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ムーディー・ブルースのSACD
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