
THE MOODY BLUES
ON THE THRESHOLD OF A DREAM

1969年作品。
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SACD/CDハイブリッド盤。ステレオ、5.1chサラウンドとも、デジタルリマスターされています。さらに9曲のボーナストラックも収録。文句なしのメニューですね。
ジャケットはデジパック仕様。
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幻想的なムーディ・ブルース
60年代から70年代にかけて活躍した、ムーディー・ブルースの一連の作品がSACD化されたので、さっそく聴いてみました。
『夢幻』という邦題で呼ばれるこのアルバムは1969年の作品。ムーディー・ブルースが独自の方向性をみつけた67年の『デイズ・オブ・フューチャー・パスト』、68年の『失われたコードをもとめて』に続くアルバムです。
ムーディー・ブルースというと“プログレ”としてとらえられているが、実は“プログレ”のまだない60年代に誕生したバンドであります。ゆえに曲自体は、けっこう普通のポップソングなんですよね。
それでもプログレとして聴かれるのは、メロディーやアレンジの幻想的なこと、ボーカルの暖かいこと(ぜんぜんロックン・ロールしないが)。加えて、曲が途切れなくつなげられ、全体が統一されたコンセプト・アルバムになっているからでしょう。もちろん随所に使用されるメロトロンも忘れられない。 ムーディ・ブルースの作品では70年代に入って発表された『童夢』『セヴンス・ソジャーン』の評価が高いけれど、この『夢幻』もそれに劣らずいいです。各曲の出来がすばらしい。全体の構成も隙なしだ。わたしとしては『童夢』よりも、彼らの持ち味がブレなく出ているアルバムだと思いました。
5.1chサラウンドはムーディー・ブルースの世界への入り口
マルチチャンネルは5.1chサラウンドが収録されている。サブ・ウーファーはまったく鳴っていない(と思う)。センター・スピーカーもホントに少しだけ。4本のスピーカーだけで滑らかなつながるサラウンドは、ムーディー・ブルースの音楽に相応しいアナログライクなサラウンドだ。あたかも69年当時から、そう作られていたのか、と思うほど、聴いていて違和感がないサラウンド。 一度サラウンドで聴いてしまうと、もうステレオでは聴けなくなる。とくにムーディー・ブルースの曲のもつ包容力、浮遊感は、サラウンドでこそ絶大。 音作りから、ジャケット画まで、彼らの目指したアルバム・コンセプトは「サラウンドで初めて完結する」とさえ思えてしまいました。今回のSACDサラウンド化で、あらためて、わたしたちはムーディ・ブルースの世界への入り口(スレッショルド)に立ったような気がします。
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ムーディー・ブルースのSACD
2005.5.6
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