クライバーだと、ウィンナー・ワルツも好きになってしまうのか!?のディスク
カルロス・クライバーが、今月13日に死去したそうです。享年74歳。追悼の意味で、このSACDです。そうでなくても、近々とりあげるつもりでしたので、こういう形になるとは、まさか思ってもみませんでした。
このSACDは、定価2100円という低価格で発売された、ソニー・クラシカルのシリーズのなかの1枚である。SACDが2100円で、クライバーとくりゃ、買うにきまっております。たとえ、それがウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートでも!
そう、わたしはクラシックは、バッハから現代音楽まで、何でも聴く男であるが、唯一、好きになれないのがリヒャルト・シュトラウスの交響詩と、ウィンナー・ワルツであった。
ウィンナー・ワルツは通俗すぎて、気色わるい、というのが正直な感想だ。あんなもん、ウィーンっ子でなきゃ、なにが面白いの、と。
で、1992年の元旦。ウィーン楽友協会でのニューイヤー・コンサートの模様を収めたこのディスクも、当然、ヨハン・シュトラウスI&IIのワルツやポルカが収められている。普通なら買わないディスクだが、カルロス・クライバーの指揮とくりゃ、なにかが起こる。自分を壊してみたい、と思ったので買ったのでした。
聴いたら、やっぱよかったよ。
1曲目、「ウィンザーの陽気な女房たち」の冒頭から、「こりや、クライバーだ。“椿姫”の出だしを思い出させるぜ」である。
そのほか、通俗と思っていた、ウィンナー・ワルツ独特の、びみょーな3拍子が、こたえられんほど気持ちいい。このタメは、やっぱ、クライバーならではか。
「観光列車」ではクライバー自身が、ラッパを吹く。たぶんジャケット写真がその場面と思われる。解説書には「首尾よくいかなかったが」と書いてあるが、わたしは、クライバーの“演奏”、けっこういいんでないの、と思った。
音はやわらかく、秋晴れのような空気感
とにかくSACDでクライバーの演奏が聴けるのはうれしいかぎりである。SACDの最大特長の“空気感”はライブ盤でいきる。秋晴れのような、すきとおった空気感です。いいっすよ。
ハイブリッド盤だから、CDプレーヤーでも再生できます。とりあえずSACDを持ってない人も、クライバーを偲んで聴く、というのはいかがでしょうか。
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