
ISAO TOMITA
Pictures at an Exhibition
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(4.0ch)
オリジナル1974年作品
SACDハイブリッド 2014年発売
国内盤、日本コロムビア
収録曲
・展覧会の絵(ムソルグスキー)
ボーナストラック
・シェエラザード(リムスキー=コルサコフ)
・ソラリスの海(J.S.バッハ)
「シェエラザード」は1979年の「ダフニスとクロエ」のあとに制作されたものだが、未完成だったもの。今までラジオでオンエアされただけの音源。4分34秒。
普通のプラケースにブックレット。
ブックレットには國崎晋氏の解説
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ラヴェル、EL&Pとならぶ「展覧会の絵」の名編曲
数多い冨田作品のなかでも、個人的には一番身近に感じていた「展覧会の絵」がSACD化されました。同時に4.0chサラウンドも収録されています。
ムソルグスキー作曲の「展覧会の絵」は、ラヴェル編曲もさることながら、エマーソン・レイク&パーマーにも演奏されたことから、70年代初めのロック中学生・高校生には、もっとも身近なクラシックでした。
そんな、こちらが“編曲慣れ”している「展覧会の絵」でしたが、シンセサイザーでの演奏は、ラヴェルやEL&Pにまったくヒケをとらない編曲として、ずっと心に残っていました。
とくに「卵のからをつけたひなの踊り」などは、ラヴェル編曲のオーケストラ演奏を聴いていても、冨田さんのシンセサイザーの音のほうが頭に浮かんでくるほどで、もう40年間も、うれしく悩ませられてきました(笑)。
シンセサイザーの音色が太い
さっそくSACDを聴いてみましょう。もちろんサラウンドでのリスニングです。
「プロムナード」からワクワク。やっぱり『展覧会の絵』はイメージが湧きやすく聴きやすいです。
サラウンドでのシンセサイザーの音は「フレーズごとに」とさえ思われるほど、微細に左右、前後、そしてクロスして動きます。
でもそれは、そっと動く“気配”のようなものなので、聴いていて心地よいサラウンドです。
音質も太い感じがします。
ライナーノーツによれば、SACD化にあたり、制作当時は使用する必要があったノイズ・リダクションを、あえてオフにしてパワフルなシンセサイザーの音に戻しているとか。
その部分は、ヒスノイズもおきるわけですが、大音量で聴いて少し感じる程度だったので、普段は気にならないでしょう(逆にその部分が良かったりもします(^-^)。
たしかに僕が高校生のときエアチェックした『展覧会の絵』はカセットでしたが、今日とのオーディオ的な違いを差し引いても、SACDでは音に「たくましさ」がでている気がしました。
不思議な音色が動き回ってこその“トミタ・ワールド”
でも一番の違いは、やはりサラウンドでしょう。
これまでは2chで「変った音色」の『展覧会の絵』として、平面的な絵画のように楽しんできたのですが、やはりそれでは不十分な気がします。
「不思議な音色」が、それにふさわしい「自由な動き」をしている“三次元の絵画”になってこそ、冨田さんの音パレットが現実化していると言えるでしょう。
高校生のときからいまだに頭にこびりついている、「卵のからをつけたひなの踊り」も、ピヨピヨ、とあちこちに動き、脳内で想像していたとおりの、三次元的な動きであります(この曲はサラウンド・ミックスを前提に新たに制作しなおしたそうです)。ぜひSACDのサラウンドで体験してみてください。
本編の「展覧会の絵」のあとに、ボーナストラックとして2曲収録しています。
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冨田勲のSACDレビュー
 2014.3.26
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