
J.S.Bach : Vioin Concerts
Rachel Podger & Brecon Baroque

録音 2010年5月
輸入盤、Channel Classics
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角の丸いプラケース。
ブックレットには、ポッジャーほかブレコン・バロックのメンバー6人について紹介文。ポッジャーによる曲解説「Personal note from Rachel Podger」が1ページ弱。他の人のバッハ解説とメンバー全体写真1枚。
ジャケット写真をアップにしたピクチャーディスク。
収録曲
バッハ:ヴァイオリン協奏曲
・イ短調 BWV.1041
・ホ長調 BWV.1042
・ト短調 BWV.1056
・イ長調 BWV.1055
BWV1056と1055は、チェンバロ協奏曲から復元したもの。
とはいえ真偽はあきらかでなく、オーボエ協奏曲がオリジナルの可能性が高いよう。
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古楽器でバックは各パートひとり、ポッジャーのヴァイオリンも室内楽的な響きに包まれる演奏
本作は古楽器ヴァイオリニスト、レイチェル・ポッジャーが弾くバッハのコンチェルト。オーケストラは彼女が組織したという「ブレコン・バロック」というアンサンブル集団です。
ブレコン・バロックはチャンバロを含めて6名です。つまり各パート1人。バッハの声楽では見かけますが、ヴァイオリン協奏曲では珍しいかもしれません。
しかし演奏を聴いてみると、編成の小ささは意外と感じませんでした。室内楽的な響きでも、普通のオーケストラのような充実感があるのはバッハならではでしょう。
ただポッジャーのヴァイオリンは、その室内楽的な響きのなか、メイン(前面)に位置するわけではなく、メンバーと同じ扱いで、やや左寄りのところに位置します。
実はこれが最初、不満でした。
バッハのヴァイオリン協奏曲といえば、究極の「ノリノリ・アイテム」です。個人的には、ソロ・ヴァオイリンに興奮して、カタルシスを味わうのが目的。
しかしポッジャーのヴァイオリンは、「アンサンブルの中のひとり」のようで、カタルシスが薄かったのです……。
“花形”でなくてもいい、これもバッハのヴァイオリン協奏曲
それでも数ヶ月、聴き続けました(我慢強いです)。
で、ようやくこの響きに慣れると、結構いい演奏に思えてきました。
ソロ・ヴァイオリンとオーケストラの溶け込んだ感じ、ある時はソロに耳を傾け、ある時はアンサンブルに耳を傾け、ふわりとした空間が気に入ったのでした。
本来のバッハ演奏は、こんな響きが普通かもしれません。
バッハに限らず、大方のヴァイオリン協奏曲は、レコード会社が花形ヴァイオリニストを引き立たせるための、独特なバランスで音を作っているのかも。
そう考えると、ポッジャー盤はかえって「自然な響き」に思えてきたのです(古楽器でもあることだし)。そこが好きになると、カタルシスも感じるようになりました。いまではよく聴くSACDです。
初めてバッハのヴァイオリン協奏曲を聴く方には、ヒラリー・ハーン盤のほうがいいと思いますが、この曲を聴き込んできたベテランの方には、新たな一枚としていいと思います。
定番の「二つのヴァイオリンのための協奏曲」が収録されていないかわりに、珍しいBWV1056、BWV.1055が入っています。どちらもいい曲です。なかでもBWV.1056の第2楽章と、BMV.1055の第1楽章!
演奏について長々と書きましたが、音は問題なし。
マルチチャンネルは前方に広がりのある自然な空間。残響音は意識させない薄めのものです。
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レイチェル・ポッジャーのSACD
 2012.1.18
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