ハーンのグラモフォン移籍第1弾であーる
このディスクは初めてSACDプレーヤー(ユニバーサル・プレーヤー)を買ったときに、一緒に買った。バッハのヴァイオリン協奏曲は、何度でも聴ける名曲。どうせSACDを買うなら、最初は、よく聴きたくなるディスクを選んでみよう、と思ったのだ。
買ったSACDが、ジョン・ケージの『4分33秒』じゃ、さすがに聴くのは最初だけになるだろうからね。これ冗談。
さて、このディスクは、ヒラリー・ハーンのグラモフォンへの移籍第1弾である…とカッコつけて説明しても、「ジャケット写真につられて買ったのだろう?」と訊かれたら「いいじゃねーかよ」と答えるしかあるまい。
《美人+デザインの色合いがいい+グラモフォン・レーベル》とくりゃ、知らないヴァイオリニストでも、買いたくなるのがクラシック・ファンというもの、ちがいますか?
オーソドックスなバッハ
ユニバーサル・プレーヤーを買った当初は、2チャンネル対応のアンプしかなかったので、2チャンネルで聴いていた。
バッハのヴァイオリン協奏曲は、今まで、グリユミオー/アカデミー室内管弦楽団のアナログを聴いていたのだが、このディスクも、印象はそれに近い。奇をてらうわけでもなく、誰にでもオススメできる、オーソドックスなバッハだと思う。
ひとつ気になったのは、ソロ・バイオリンとオーケストラが溶け込みすぎていることかな。
「もう、少しソロが、目立つようにしてもいいんじゃないかなあ」と思っていたのだが、あんた、これが、逆にスルメで、だんだん、このディスクの魅力みたいに思えてきて、けっこう聴いたものです。
マルチでいきるハーンのヴァイオリン
で、最近、わたしもマルチ・チャンネル対応のアンプを購入し、あらためてマルチチャンネルでこのディスクを聴いてみました。
マルチチャンネルで聴くと、2チャンネルでは溶け込んでいたソロヴァイオリンが、しっかりと彫琢された音で浮き上がっている。
「おいおい、わたしのスルメをとるのかい」と思ったが、こっちのほうが、やはりいい。
マルチチャンネルといっても、このディスクのマルチは〈コンサート会場〉を再現するような音場ではなく、あくまで2チャンネルを拡充するためのマルチにまとめられている。
オーケストラがフロントスピーカーの外に、ひっそりと広がり、ソロ・ヴァイオリンが中央にくっきりと、でも、これみよがしでもなく、けなげに浮かび上る空間は、リスナーにもストレスを与えない。いいよー。風呂上がりに。
クラシックでは、5.0chとしてサブ・ウーファー(0.1ch)を使用しない録音もあるが、本ディスクではサブ・ウーファーも使用する。人によるだろうが、わたしのシステムではサブ・ウーファーを使用する音のほうが好き。低音にしっかりとした厚みがでるから。このディスクに関してはマルチチャンネルで聴くほうが好きだなあ。
Amazon
2004.6.26
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