五嶋みどりの弾くヴァイオリンは、いい
五嶋みどりの弾くメンデルスゾーンとブルッフの有名ヴァイオリン協奏曲。リリースは数年前ですが、とても好きなSACDなので紹介します。DSDレコーディングです。
実際、このSACD(とくにマルチチャンネル)を聴いているときは、幸せのきわみです。
五嶋みどりのヴァイオリンは、豊饒でもカラフルでもありませんが、そのぶん水墨画のようにシンプル。これみよがしな演出にはいっさい興味がないように、一直線に音楽を掘り下げているところがすごく好きです。聴けば聴くほど、好きになる。飽きません。
やっぱベルリン・フィルは世界一だあ、と今さら
もうひとつの聴きどころがベルリン・フィル。
昔から「ベルリン・フィルはすごい」と口にしてきましたが、正直、オーディオで聴いてすごいと思ったことはない、のが本音でした。LPレコードやCDで聴いても、どうも実感としてこなかった。
いままで僕の耳がわるかったのかもしれませんが、このSACDのマルチチャンネルでベルリン・フィルを聴いて、初めて「いやあ、すごいわ。確かに世界一かも」と実感したしだいです。
綺麗でありながら、力強い。かと思えば、繊細で深みもある。SACDで初めて確かな存在感を、身体で感じられた気がします。
マルチチャンネルの再生が、ほんとうにホールのようで、それも一役買っているかもしれませんね。聴いてる位置は、彼らの本拠地、フィルハーモニー・ホールの中間あたりになるかな。ヴァイオリンもオーケストラに対して出過ぎず埋もれもせず、とてもいいバランスだと思いました。
最後にひとつ贅沢な注文を。両方の曲の最後に拍手がはいるけど、すぐにフェイドアウトしてしまうのが惜しい。演奏後の拍手に包まれるのは、まさに本当のコンサートようで極楽の瞬間だ。ステレオ再生では、演奏後の拍手はうっとおしいかもしれないけれど、サラウンドなら1分は入れても大丈夫と思います(僕は拍手フェチかもしれない)。
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五嶋みどりのSACD
2006.11.5
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