
Dvorak Grieg Schumann
Piano Concertos
Sviatoslav Richter
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輸入盤、EMI
SACDハイブリッド2枚組
DISK1
・ドヴォルザーク:ピアノ協奏曲 ト短調 作品33
指揮: カルロス・クライバー
バイエルン国立管弦楽団
録音1976年
DISK2
・グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
・シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮
モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団
録音1974年
ハードカヴァーの見開きはこのシリーズ共通のスタイル。
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意外にも、ピアニズム溢れるドヴォルザークのピアノ協奏曲
本作はEMIのリーズナブルSACDのひとつ、リヒテルの弾く3つのロマン派ピアノ協奏曲です。
ディスク1はドヴォルザークのピアノ協奏曲。
指揮はあのカルロス・クライバー。リヒテルとクライバーの顔合わせだけで、「おおお」であります。
しかし、ドヴォルザークのピアノ協奏曲を僕が聴くのは初めて。
いくらピアニストと指揮者が凄くても、「曲が退屈だったらどうしよう」と心配したのですが、杞憂でした。
ドヴォルザークのピアノ協奏曲、すごくいいです。
交響曲〈新世界より〉やチェロ協奏曲でイメージしていた「叙情的なドヴォルザーク」ですが、この協奏曲ではピアニズム溢れる曲になっております。
誰もが覚えられるキメ旋律がないので、クラシック三大ピアノ協奏曲には加えられませんが、それに匹敵するくらいの面白さ。
短いフレーズ単位でなら、メロディー・メイカー、ドヴォルザークの面目躍如といった部分がたくさんあります。よって聴き飽きません。
リヒテルってこんなに柔らかい!?
そのピアニズム溢れる曲を、リヒテルが豪快に弾きまくります。
でも、ピアノのパッセージがすごく柔らかく感じます。
リヒテルというと、「ダイナミックでハンマーのような迫力」という印象だったのですが、この演奏では、すごく柔らかく感じました。
失礼ながら、あのお顔からも想像できない優雅さ。
といっても女性的な音ではなく、「鋼(はがね)でできた羽毛」が舞う、といった感じでしょうか。
ドヴォルザークのこの協奏曲は、まるでラフマニノフのようなピアニズムでもあるので、余計にリヒテルの虜になってしまうのです。
リヒテルのピアノ演奏のまえには、残念ながら僕の耳では、クライバーの指揮がどれだけ凄いのか聞き分けることができないのですが、クライバーもきっと凄いのでしょう。
SACDの音
EMIのこのSACDシリーズも、70年代録音ともなると、さすがに柔らかく透明感があります。
ただアナログ全盛期にしては、音にやや肉厚がないのが、この時期のEMI録音かもしれませんが、SACDでは、それも気にならないかのように、非常に繊細に再生してくれるので満足です。
ディスク2のグリーグとシューマンについて書くスペースがなくなりましたが、こちらも言うまでもなく、リヒテルなら聴く価値がある演奏です。
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EMI輸入SACDシリーズ
 2012.9.11
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