
Debussy:
Complete Piano Works
Walter Gieseking
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MONO
録音1951から1954年、
アビイロード・スタジオ。
輸入盤、EMI
SACDハイブリッド4枚組
DISK1
前奏曲集 第1集&第2集
DISK2
「映像」「版画」ほか小品
DISK3
12のエチュード、ほか小品
DISK4
「ベルガマスク組曲」「子供の領分」「アラベスク」ほか小品
ブックレットはカラー。
オリジナルの5枚のLPの表裏ジャケット写真。LPの5枚(10面)のラベル写真。録音テープの写真など。英独仏語の解説。
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「今まで聴いてきたドビュッシーと違う」
本作は、ワルター・ギーゼキングがドビュッシーのピアノ曲(全曲)を弾いたSACD。5枚のオリジナルLPが、4枚のSACDに収められています。
ギーゼキングというと、僕のような若き(?)クラシックファンには、モーツァルトのピアノ・ソナタ全集が代表作と思っていましたが、ドビュッシーも同じくらい名盤なのだそうです。
試しにネットで試聴したところ、パソコンのスピーカーで聴いても、「今まで聴いてきたドビュッシーと違う!」とただならぬものを感じ、即購入したのでした。

ギーゼキングとドビュッシーのいい関係を思わせるオリジナルジャケット。
ドビュッシーの前衛的な音楽が、ストレートに伝わる演奏
ギーゼキングの弾くドビュッシーは、キラキラとした音響がほとんどありません。
今まで聴いていた「水面を思わせる、豊かな響きこそドビュッシー」とは雰囲気がちがいます。
しかしギーゼキングの音は、とても明晰に動き、これまで以上に、ドビュッシーの楽譜に書かれた前衛的なところが伝わってくるのでした。
「新即物主義」と言われるギーゼキングの演奏を聴いたあとでは、今まで耳にしてきたドビュッシーが、印象主義の名のもとに、音響過多に演奏されすぎてきたのではないか、と思われるほどです。
でもギーゼキングの演奏は冷たいものではなく、むしろ他のピアニストよりホットです。
フォルテッシモの迫力はかなりあり、(ドビュッシーなのに)うめき声も聴こえます。
あのモーツァルトのピアノ・ソナタで、ギーゼキングを紳士風な方と想像していた僕ですが、「この人はワイルドな方かも」と考えあらためました(笑)。
このSACDで、ドビュッシーを聴くのがうれしい
録音は『子供の領分』の1951年以外は、53年、54年のもの。モノラルで、「こもった感じのベール」が、どうしても一枚かかっている音。
しかしそれも、SACDの音では気になりません。響きはゆたかですし、ダイナミックレンジもかなりあって驚くほどです。
ドビュッシーには数多くのディスクがありますが、今は録音が一番古いにもかかわらず、このSACDで聴くのが一番うれしい。
「それって、音質フェチ」と、オーディオファン以外にはあきれられそうですが、
このギーゼキングの演奏、それからSACDの音を知った喜びは大きいのです。
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EMI Signature Collection
 2012.5.24
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